青果部門

 基礎知識

 

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? はじめに??
 
? 本教材の記載内容は一般的なものとなっていますので、実際の仕事では、各社のルール、マニュアルに則って、作業を行ってください。
 
ANKER
第1章 青果部門の役割
 
 
(1)青果部門は店舗のナビゲーター・集客部門
 
なぜ、ほとんどの店舗で青果売場の入口から入ってすぐの場所にあるのでしょうか?
このことを考えることが、青果部門で働くスタートとなります。
1年365日、スーパーマーケット(以下SM)の売場が、単に物を並べておくだけの場であったとしら、変化に乏しい < 物置 > であり、< 倉庫 >となってしまいます。
わびしく、息が詰まります。
スーパーマーケットの売場には、生活を支える多くの要素が不可欠です。
楽しい生活の場には < 色 >があり < 香り > があり、< 息吹き > があります。
それらは絶対3要因なのです。
来店されるお客様は最初に見る野菜と果物売場でその絶対要因の < 洗礼 > を受けます。
< 色 > < 香り > < 息吹き > を総合して持つものは < 季節 > そのものです。
< 春 > < 夏 > < 秋 > < 冬 > の四季の移ろいを完璧に演出できるのは青果売場をおいて他にありません。
春には春の野菜と果物、夏には夏の、秋には… 、野菜と果物は見事に四季を演出します。
青果売場が < 季節の歳時記 > というのは過言ではありません。
 他の部門でもそれなりに季節を彩る商品と売場の構成は可能ですが青果売場ほど完璧に3要因を打ち出せる売場はありません。
つまり、青果売場こそが、その店舗の 季節感と鮮度感を演出するナビゲーターであり、重要な集客部門なのです。
 
      
 
 
(2)SMの青果部門の役割
 
限られた商圏内(小商圏と言います )のお客様が主な対象の中小型の食品中心のSM( 200 ~ 300 ~ 450坪 )では、取り扱い品目にも制約があり、一方では常時キッチリと計算された < 安定的オペレーション > がなされている事が最も望ましい形とされています。
この場合の絶対条件は、< 便利性 > です。
ただしそれだけでは毎日来られるお客様に飽きられますから、それにプラスしての若干の < 変化要因 > が必要です。
つまり、いつ行ってもお店が開いていて、日常生活に必要な商品が揃っていて、便利でありながら、少し楽しさのある売場であるべきだということです。
従って商品はすべてが < 最寄り商品 = 日常生活に密着している商品> であり、価格もお値打ちで適当に安く、値頃を押さえてあって、買いやすいことが必要なのです。
店舗でのサービスもごく普通で、気安に利用できる < わが町のお店 > であるべきです。
そのようなSMだからこそ、そこに働く人材もごく普通の感覚を大切にし、常にお客様の目線で判断、行動する必要があります。
ことに野菜・果物は特別な商品づくりや陳列より、常に安定した品質の商品を切らすことなく提供することが優先されます。
さらに、SMは少数精鋭で運営されていますから、単一の業務だけしていればよいというものではありません。
何事も広く浅くこなす万能屋( オールラウンダー )で、しかもきめ細かな対応ができる便利屋でもある必要があります。
青果部門の担当者としては、仕入れた商品の商品づくり~値入れ~陳列~売場作り~売り込み~陳列整理~見切り処分~発注~簡単な基礎数値の確保…等々、一連の作業があり、それらをバランスよくこなしてゆかなければなりません。
行動のすべてに < 明るさ > がみなぎり、そのことが < 鮮度 > になって現れてきます。
地域に密着した食品SMにとって絶対に必要な条件は以下の3つのキーポイントです。
そのキーポイントがバランスよく構成されていれば、地域の人々に深く支持される<地域一番店>になることが出来ます。
 

 

 

? 地域に密着するスーパーマーケットの条件

   ➊ 高鮮度・高品質の商品

   ➋ 適正な価格(値ごろ感)

   ➌ 親切で程よいサービス

 

 

(3)日本における青果物流通経路

青果物がどのような流通経路で、私たちの店舗まで送られてくるのかを知っておくことも必要です。

下記は一般的な流通経路ですが、これだけの人の手を経てきた青果物を、最終的にお客様にお届けするという役割を、私たちは担っているわけです。

➊ 生産者 ➋ 商社(輸入) ➌ 農協 ➍ 地場商社 ➎ 卸売市場 ➏ 卸売事業者 ➐ 仲卸業者 ➑ 売買参加者 ➒ 産地直送取引等 ➓ 直売所・マルシェ・宅配等 ⓫ 製造業者・小売業者・外食業者 ⓬ 消費者

ANKER

 
 
第2章 青果部門の商品知識
 
 
1.青果物の特性
 
?キーポイント?‍?
 
青果物は収穫後も成長活動を続けており、販売を行なう上でその特性を理解しておくことが必要です。
一般的には、蒸散作用・炭酸同化作用・呼吸作用等の作用(生理)があり青果物の適正な取り扱いを行なっていくための知識として理解する必要があります。3
 
(1)蒸散作用
 
植物は根から水分や養分を吸収し、生育し続けています。
水の働きは養分の吸収移転を活発化させる作用と蒸発熱を奪うことで、体温の上昇を防ぐ作用があります。
生育過程の植物では根があるため水分を吸収できますが、収穫後の青果物は水分の補給が断たれてしまうため、時間の経 過と共に新鮮さが失われ商品の価値がなくなります。
青果物の取り扱いに当っては、この蒸散作用をできるだけ防ぎ新鮮な状態を維持させることが大切です。
 
 
1)蒸散による変化
 
収穫後の青果物は水分が断たれるため、光沢、張り、みずみずしさ等がなくなり、しなび、変色等が発生して商品としての価値が低下します。
この変化は青果物の品種・収穫の状態(完熟 or未熟等)・環境条件(温度、湿度等)により進行の度合は異なります。
 
 
2)蒸散の特性
 
  B C
蒸散特性 温度が低下するにつれて、蒸散の量が著しく低下するグループ 温度が低下するにつれて、蒸散の量が低下するグループ 温度の変化にかかわりなく蒸散が発生するグループ
野菜 キャベツ・ニンジン・カボチャ・サツマイモ・タマネギ・ジャガイモ トマト類・豆類・カリフラワー・ブロッコリー・ダイコン アスパラ・セロリー・ナス類・キューリ・葉物類・キノコ類
果実 モモ類・ブドウ類・メロン類・ビワ・クリ・イチジク モモ類・ブドウ類・メロン類・ビワ・クリ・イチジク イチゴ・サクランボ・ブドウ類(米国種)

 

青果物は品種・品目や熟度により蒸散の特性があります。
植物は未熟期(成長期の最中)ほど蒸散は激しくなり、完熟になるにつれ蒸散は低下します。
成長期に収穫される品目の多い野菜等は、蒸散作用を抑制させて商品の取り扱いを行なうことが必要です。
蒸散作用も品種、品目により特性があります。
 
 
3)蒸散作用の抑制
 
品質劣化が進まないよう蒸散の進行を抑制することが青果物の販売では重要です。
蒸散の特性に合った抑制方法は、温度・湿度の管理や袋・フィルム等を活用して行います。
そのための冷蔵庫・製氷機・蘇生用シンク・散水設備・各種包装資材等保必要になります。
 
 
(2)炭酸同化作用(光合成)
 
植物の葉緑素は光を吸収し光のエネルギーと体内の炭酸ガス、水を合成して炭水化物と酸素をつくりだします。
通常植物が酸素を出すと言われますが、青果物として収穫後はこの機能は停止します。
 
 
(3)呼吸作用
 
生物はすべて呼吸により酸素を消費し、二酸化炭素をはき出し、植物も呼吸作用によりエネルギー(熱)が発生します。
* だだし、植物の炭酸ガス発生量は動物に比べて過小です。
 
 
1)呼吸作用による変化
 
呼吸熱により成分が分解し、過熟、軟化、風味の低下や水分の放出による重量の減少、縮み、果肉のしまり低下等を起します。
また成熟期の青果物はエチレンガスを発生するため未熟果の熟度を促進させたり、貯蔵環境により、空気中の酸素・炭酸ガスの構成比が変わるため、他の青果物の生理機能に影響します。
 
 
2)呼吸熱発生量
 
 

順位

品  目

呼吸熱

アスパラ

5800kcal

ブロッコリ

4400kcal

グリーンピース

4000kcal

とうもろこし

3300kcal

オクラ

3000kcal

ほうれん草

2800kcal

レタス

1600kcal

ピーマン

1200kcal

カリフラワー

1100kcal

10

にんじん

880kcal

 
 
 
 

順位

品  目

呼吸熱

アボガド

5800kcal

イチゴ

1700kcal

リンゴ

680kcal

も も

500kcal

メロン

500kcal

レモン

480kcal

オレンジ

400kcal

スモモ

380kcal

グレープフルーツ

330kcal

10

ブドウ

300kcal

 
 
 
● 呼吸熱量の多い品目は、劣化が進行しないように品温を下げて管理することが必要です。
 
 
 
 
2.青果物の効用
 
 
?キーポイント?‍?
 
青果物は体に大切な栄養素であるビタミン・ミネラル・・食物繊維・ファイトケミカルを多く含んだ食材です。
商品個々の特徴を理解して、お客様への商品説明や料理提案を行うことで、販売をより強化させることが大切です。
青果物の持つ栄養素・ビタミン・ミネラル等の理解と効用を知り、それらをより多く含んだ商品を覚えましょう。
 
 
(1)青果物に多く含まれる栄養素
 
1)ビタミン
 
生命を維持していく上で絶対に必要な有機化合物で、体内では合成されないため外部から食物等で摂取することが必要です。
■ ビタミンの種類 … 
A ・ B1 ・ B2 ・ B6 ・ B12 ・ C ・ D ・ E ・ K ・ L ・  M ・ P ・ U
 
 
 
?  β-カロテン(体内でビタミンAに変換)
 
ビタミンAが不足すると身体の成長が止まったり、歯や骨の発育不良、夜盲症等になりやすくなります。
β-カロテンは、ファイトケミカルの一つともされています。
緑黄色野菜は、β-カロテンが、可食部100g当たり600μg以上含有している野菜を指し、食品の中で最も多くβ-カロテンを含んでいます。
 
? ビタミンC
不足すると壊血病、皮下出血、骨の形成不全、貧血等の原因となるため大切なビタミンです。
このビタミンは加熱により破壊
されやすいことや体内に貯えら
る量が少ないことのため生で摂取する野菜や果実が有効な食品となります。
 
 
 
 
 
 
 
 
【青果物に多く含まれているビタミン類 】
 

名称

1日所要量

食品中の性質

生理作用

欠乏症

豊富な青果物

 ビタミンA

 β-カロテン

成人男子

2、000 I.U

成人女子

1,800 I.U

水に溶けない熱にやや不安定・

酸化、乾燥、高温でこわれる

皮膚・粘膜を健康に保つ薄暗い所で視力を保つ・

抗ガン作用がある

成長がとまる。

骨と歯の発育が悪い・夜盲症の抵抗が減る

*緑黄色野菜類

人参・ホウレン・ニラ・小松菜・南瓜・パセリ・ブロッコリー・セリ・春菊・トマト・切り三ッ葉・サラダ菜・大根の葉

 ビタミンB1

成人男子

0.8~1.0mg

成人女子

0.7~0.8mg

水に溶けやすい・加熱してから水につけておくと一層溶けやすい弱酸性で安定

体内の貯蔵は少ない炭水化物の代謝にあずかる脂質は節約作用がある

脚気 

多発性神経炎

便秘

浮腫 

心臓肥大

・落花生・豆類

*緑黄色野菜類

・(省略)

 ビタミンB2

成人男子

1.2~1.4mg

成人女子

1.0~1.1mg

光にあてると

溶けやすく、壊れる・アルカリ性に弱い酸や熱にはやや安定

アミノ酸・脂質・炭水化物の代謝に必要動物の成長を促進

口唇炎

口角炎

角膜炎

*緑黄色野菜類

(省略)

 ビタミンC

 成 人

 男 女

 5 0 mg

熱・空気アルカリ酵素により壊れやすい

酸・低温でやや

安定

コラーゲン生成➠

毛細管・歯軟骨

・結合組織の健在

・アミノ酸

・ステロイドの生成

壊血病

皮下出血

骨形成不全

貧血

成長不良・

歯肉色素沈着症

ミカン・いちご・パセリ・ブロッコリー・芽キャベツ・菜の花・

*緑黄色野菜類・芋類・淡色野菜類

 
 
 
2)無機質(ミネラル)
 
身体を構成している元素のうち「水素・炭素・窒素・酸素の4元素以外の総称」と云う意味で用いられます。
身体に含まれる無機質の中には、生命を維持するのに欠くことの出来ないものが必須元素で現在では16の元素があります。
 
■ミネラルの種類
ナトリウム・カリウム・塩素・カルシウム・リン・マグネシウム・硫黄・鉄・亜鉛・銅・マンガン・コバルト・クロム・ヨウ素・モリブデン・セレン
 
【青果物に多く含まれているミネラル類 】
 

名称

1日所要量

食品中の性質

生理作用

欠乏症

豊富な青果物

カルシウム

(Ca)

成  人

男  女

0、6g

成人体内に

約1Kg含まれ

99%は塩酸炭酸

骨・歯などの硬組織を作る血液を

アルカリ性にする

骨・歯が弱くなる

成長不良

神経過敏

切干大根

小松菜

(Fe)

成  人

男  女

10~12mg

成人体内に

約3g含まれる

酸素の活性化に関係し栄養素の燃焼に役立つ

貧血

疲れやすく忘れっぽくなる

切干大根

パセリ

いんげん

ホウレン草

(Cu)

成  人

男  女

2.5mg

成人体内に

約0、1g含まれる

腸管から鉄の吸収を助ける

貧血

骨折・変形

をおこす

野菜には少ない

カリウム

(K)

成人目標

摂取量

2~4g

成人体内に

約200g含まれる

心臓・筋肉機能を

調整する

筋力低下

腸閉塞症

知覚鈍化

西瓜 柿

マグネシウム

(Mg)

成人目標

摂取量

0.3g

成人体内に約30g含まれる

刺激による筋肉の興奮性の高低促進

神経が興奮しやすくなる

大葉

ホウレン草

さつま芋、セリ

人参葉、春菊 

バナナ

 
 
ビタミンとミネラルは必要量がとても少ない微量栄養素ですが、双方が共同して、体の様ざまな機能の維持・調節を行っています。 (ビタミンは有機質で、ミネラルは無機質)
        
    ビタミンとミネラルの共同作業
 
 
3)食物繊維
 
ヒトの消化酵素では消化されない食物成分の総体とされています。
食物繊維の摂取は胆汁酸の排泄を促進するため血液中のコレステロールの減少や上昇抑制や腸内容物の移動が早められ、大腸ガンの抑制や糖尿病にも効果が認められています。
 
  
4)ファイトケミカル
 
ファイトケミカル(フィトケミカル)の「ファイト」 は、「戦う(fight)」ではなくて、ギリシャ語で「植物(phyto)」を意味しています。
植物は動物のように日陰や雨風をしのげる場所へ移動することができないため、強い紫外線や害虫、有害物質などからファイトケミカルで身を守っています。
ファイトケミカルは、主に植物に含まれる色素・香り・苦み・渋みなどの成分で、その数は1万種類以上にのぼり、人間にとっても、健康効果を発揮します。
ファイトケミカルの最も重要な効果は、強い「抗酸化作用」で、体の中で酸化の(サビる)原因となる活性酸素を抑える抗酸化作用を強く発揮するとされています。
但し、ファイトケミカルは、他の栄養素と違い、通常の身体維持機能に必須ではないため、欠乏症の心配のない栄養素で、その多くは、まだ栄養学的な健康効果が証明されておらず、食品の含有量や推奨摂取量が数値的に示されていません。
従って、その健康効果を過剰にとらえることに対しては、注意が必要です。
しかし、様ざまな病気の予防効果が立証されてきており、「第7の栄養素」として、健康維持のために重要な栄養素として注目されており、積極的な摂取が求められています。
 
● ファイトケミカルの役割と主な種類
 
➊ ファイトケミカル ➋ 害虫  ➌ 紫外線 ➍ 有害物質   

 

種類

期待できる主な効果

含まれる主な成果物

 アントシアニン類

 強い抗酸化作用・眼精疲労の回復

 ブルーベリー・ブドウ

 フラボン類

 精神安定作用・抗がん作用

 セロリ・パセリ・ピーマン

 カテキン類

 生活習慣病の予防

 緑茶・果実類・カカオ

 フラボノール類

 血流改善・動脈硬化予防

 ブロッコリー・玉ネギ

 α-カロテン

 強い抗酸化作用・抗がん作用

 ニンジン・カボチャ・ホウレン草

 β-カロテン

 強い抗酸化作用・皮膚や粘膜の強化

 ニンジン・カボチャ・トマト

 β-クリプトキサンチン

 免疫力向上

 ミカン・ホウレン草・パプリカ

 リコピン

 特に強い抗酸化作用・血流の改善

 トマト・スイカ

 ルテイン

 様ざまな目の病気の改善

 ホウレンソウ・ブロッコリー

 ゼアキサンチン

 様ざまな目の病気の改善

 カボチャ・トウモロコシ・モモ

 イソチオシアネート系

 血流改善・抗がん作用

 ダイコン・ワサビ

 
 
 
 
3.青果物の種類、品名、旬 及び 用途
 
 
?キーポイント?‍?
 
青果物の商品は全体では数100種に及びます。
大きくは野菜と果実に分けて分類し、その中で同一品種や同一品群をまとめて管理していきます。
また青果物は季節により出回り品目が入替わるため季節でのくくりも重要です。
青果物の品種、品名と個々の品目の出回り時期、そしてそれらの料理用途等を理解して下さい。
 
 
(1)青果物の分類
 
青果物の分類は通常植物学的な分類と料理用途から関連する品群をまとめた分類があります。
現在のスーパーマーケットでの分類は、それらの複合型が一般的となっています。
 
? 分類例 ?
 
野 菜

【 植物学的分類 】 

a.根菜類   b.葉茎菜類  c.果菜類  d.豆類  e.土物類  f.きのこ類  g.水物加工類

料理関連品群分類

a.サラダ類  b.てんぷら・フライ類 c.炒めもの類 d.煮もの類   e.鍋もの類  f.あえもの類 g.つまもの類  h.薬味類

果 実

【 植物学的分類 】 

a.柑橘類  b.りんご類  c.ぶどう類  d.メロン類 e.いちご類 f.季節果実類(柿・梨・栗・桃・さくらんぼ・すもも・西瓜・その他)  g.輸入果実類 (バナナ・パイナップル・マンゴ・パパイヤ・アボガド・キウイフルーツ・ハネジューメロン・ライチ・ブドウ類等)   h.果実加工類(甘栗・干芋・干柿・フルーツゼリー・ドライフルーツ等)

料理関連品群分類

a.カットフルーツ類

 

 
 
2)売場の分類例
 
青果部門の担当者として自部門の扱い商品を知っていることが必要です。
青果部門の商品は現在では周年出回っているものが多くなっていますが、中には短い期間しか出回らない商品もあります。正しい商品名と出回り時期を理解しておきましょう。
売場の分類や取り扱い品目は、各社ごとに異なりますので、しっかりと確認し、暗記するように努めましょう。
 
野   菜

ライン

品 目

サラダ野菜

レタス・キャベツ・サニーレタス・グリーンリーフ・サンチュ・サラダ菜・クレソン・パセリ・ラディシュ・トレビス・チコリ・セロリー・・ミニセロリー・エンダイブ その他

洋 菜

アスパラ・カリフラワー・ブロッコリー・パープルフラワー・マッシュルーム(ホワイト・ブラウン)・ズッキーニ・・アーティチョーク その他

果 菜

トマト(桃太郎・ファースト)・ミニトマト(赤・黄・オレンジ)・・キューリ・ 白ウリ にがうり・なす(長なす・小なす・米なす・千両なす・丸なす・加茂なす・水なす・焼きなす・長小なす)・ピーマン・赤ピーマン・パプリカ・甘長ピーマン・カボチャ・しし唐・青とう・オクラ・トウモロコシ・その他

葉茎菜

ホウレン草・小松菜・大根菜・しろ菜・たか菜・京菜・野沢菜・白菜・山東菜・春菊・モロヘイヤ・ネギ・わけぎ・小ネギ・泥ネギ・にら・チンゲン菜・パクチョイ・ターサイ アスパラ菜・糸三ッ葉・切り三ッ葉・フキ・ウド・山ウド・セリニンニクの芽

根 菜

大根(青首・桜島・丸大根)・人参・金時人参・ごぼう・れんこん・かぶ・大かぶ・赤かぶ・生筍・生笹筍・その他

土 物

じゃが芋・メークィン・玉葱・さつま芋・こがね芋・里芋・八頭・セレベス・京芋・長芋・大和芋・山の芋・その他

豆 類

さやえんどう・さとうさや・スナックさや・いんげん・十六ささげ・グリンピース・うすいまめ・そらまめ・枝豆・(茶豆・だだ茶豆)・その他

きのこ

生椎茸・えのき・しめじ・ぶなしめじ・ひらたけ・まいたけ・なめこ・あわび茸・エリンギィ・松茸・その他

つまもの

大葉・わさび・生姜(ヒネ・新)葉生姜・みょうが・にんにく・ハーブ類(タイム・バジル)食用菊(もって・柿の素)・とんぶり・芽類(紅たて・木の芽・ほじそ・花ほじそ・ぼうふう・小菊)・ぎんなん・ゆず・すだち・カボス・その他

野菜加工品

タケノコ水煮・ゼンマイ水煮・ワラビ水煮・フキ水煮・メンマ水煮・レンコン水煮・チンジャオ・筑前煮・炊き込みご飯(山菜・きのこ・たけのこ・まつたけ・もやし(大豆・豆・ミックス)・かいわれ・豆苗・カット野菜(サラダミックス・コールスロー・野菜炒め)・レトルトコーン・レトルト味付け里芋・洗い里芋・焼き芋・切干・大根・割り干大根・干し菊・その他

 
https://blog-imgs-163.fc2.com/j/o/f/joflinkinc/seika66.png
 
 
 
 
果 実

ライン

品 目
国内主力果実

りんご

ふじ・スターキング・つがる・王林・ジョナゴール・千秋・むつ・世界一・北斗・さんさ・紅玉・陽光・その他

柑 橘

みかん(ハウス・青切り・早生・普通・南柑・青島)・伊予柑・・ネーブル・八朔・甘夏・サンフルーツ・セミノール・ポンカン・・清見オレンジ・デコポン・文たん・小夏柑・金柑・その他

ぶどう

デラウェアー・巨峰・キャンベル・ベリーA・ネオマスカット・アレキサンダー・甲州・甲斐路・ナイヤガラ・その他

いちご

とよのか・女峰・アイベリー・あきひめ・とちおとめ・その他

メロン

プリンス・アムス・アンデス・クインシー・アールス・マスク・・キンショー・パパイヤ・ホームラン・その他

国内季節果実

刃根・西村・ひらたね・富有・次郎・筆・蜂谷・その他

幸水・新水・八雲・新世紀・20世紀・長十郎・豊水・新高・秋月・新興・パートレット・千両・ラ・フランス・ル・ルクチェ・フレミシュ・・マルガリット・マレーラ・ヒメンコ・その他

丹沢・銀寄・伊吹・利平

布目早生・砂子早生・白鳳・大久保・山根白桃・あかつき・白桃・ゆうぞら・その他

ネクタリン

興津・秀峰・フレーバートップ

スモモ

ビューティー・ホワイトプラム・サンタローザ・ソルダム

月光・ケルシー・プルーン・太陽

スイカ

縞王・日章レッド・マックス・紅小玉・クリーム・その他

サクランボ

ジャボレー・高砂・佐藤錦・ナポレオン・南陽・ビング・ランパート・レーニア(アメリカ産)

ビワ

茂木・田中

その他

いちぢく・あんず・生梅

輸入果実

グレープフルーツ(ホワイト・ルビー)・キーウイフルーツ・オレンジ(ネーブル・バレンシア)・レモン・ライム・ミネオラ・スイーティ(オロブランコ)・バナナ(フィリピン・南米・台湾・完熟・モラード・モンキー)・パイナップル(完熟・ミニ・スナック)・パパイヤ・アボガド・マンゴー(カラバオ=フィリピン・アップル= メキシコ)・チェリー(ビング・ラムバート・レーニア)・ブドウ(エンペラー・リビエラ・カルメリア・レッドグローブ)・ハネジューメロン・ハミグワ・ザクロ・ブルーベリー・パッションフルーツ・ペピーノ・タマリロ・ドリアン・キワノ・ライチ・スターフルーツ・ その他

果実加工品

干し柿(コロ柿・アンポ柿・市田柿・つるし柿・青島柿)・干し芋・ドライフルーツ・・・落花生・甘栗・ピスタチオ・プルーン・バナナチップ・レーズン・アーモンド・カボチャの種・干しいちじく

フルーツゼリー:伊予柑・洋梨・巨峰・マスカットメロン・ラフランス・桃

カットフルーツ各種:メロン芯抜きホール・スライス・パイン・ブロック・パインボート・カットメロン・メロンボート・ ットすいか カット フルーツ盛りあわせ

 
 
 
 
(3)青果物の旬
 
旬とは季節の食材の出盛り時期で、最も味の良い時期のことを言い、通常は、栄養価も高くなり、流通量も多く、
価格も安くなります。
青果物は、最近は栽培技術の向上により周年出回る商品も増えていますが、年1作の果実や露地栽培が中心の野菜の中には、ある一定の時期しか収穫できない商品もあります。
 四季折々の青果物本来の出回り時期にそれらの商品を
提案していくことは、売場を活性化させ、お客さまに満足を与えることとなります。
個々の青果物本来の出回り時期“旬”を理解し、最適な売場づくりをしましょう。
 
 
1)商品の出回り
 
*青果物は人口的栽培(水耕・菌床栽培)以外は一番の出回り時期があります。 
 
 
【青果物に多く含まれているミネラル類 】
 

出回り時期

販売対応

品揃え

値入

導入時期

 商品が出始め少し量が安定してくる時期で品揃えの開始をします。

少ない

1SKU

少ない

拡販時期

 商品が量的に出回りはじめます。売場も広く確保し始め量販体制を組みます。

少し拡大

2~3SKU

や や

少ない

(旬)

ピーク時期

一番の出回り時期、味も良く価格も安くなり売込のピーク。

最 大

3~5SKU

予 算

通 り

後取り時期

 ピークを過ぎ出回り量は少しずつ減少していく時期で売場も徐々に縮小する。

少し縮小

2~3SKU

や や

高 い

終了時期

 出回り量は減少し品質が低下し販売終了。

1SKU

高 い

 
 
    
2)四季の出回り商品(旬商品)
 
 
 

野 菜

果 物

生筍・生フキ・ウド・菜の花・根三ッ葉・アスパラガス・たらの芽・生ワラビ・新玉ネギ・新ジャガ芋・新人参・きぬさや・グリンピース・そらまめ・かぶ

イチゴ・甘夏・清見オレンジ・セミノール・アンコール・八朔・デコポン・金柑・グレープフルーツ・オレンジ

きゅうり・とまと・なす・ピーマン・ししとう・おくら・枝豆・とうもろこし・いんげん・とうがん・みょうが・葉生姜・らっきょ・新生姜・生じゅんさい

西瓜・メロン類・サクランボ・デラウエアー・桃・プラム類・ネクタリン・梅・あんず・びわ・ハウスみかん・幸水梨・いちじく

まつたけ・生しいたけ・しめじ・なめこさつまいも・さといも・ごぼう・人参・玉ネギ・じゃが芋・メークィン・カボチャ・柚子・すだち

ブドウ類(巨峰等)みかん類・梨類(豊水・長十郎・洋梨等)・柿類(平核無・富有・次郎等)・リンゴ類(津軽・千秋・むつ)

白菜・大根・ねぎ・キャベツ・れんこん・カリフラワー・ブロッコリー・ホウレン草・小松菜・たか菜・京菜・メキャベツ

ミカン類(普通・青島等)・リンゴ類(ふじ・王林・等)・スイーティー・伊予柑・ポン柑・甘栗・輸入ブドウ類

周年

菌床栽培きのこ類(エノキ・ぶなしめじ・まいたけ・エリンギィ・等)・水耕栽培類(糸みつば・貝割れ等)・加工品 (タケノコ水煮・カット野菜等)・もやし類

輸入物・(バナナ・レモン・GF・等)・貯蔵りんご類(ふじ・王林・ジョナゴール)・加工品(ゼリードライナッツ)

 
 
 
 
 
(4)青果物の用途
 
 
青果物は料理の脇役商品として捉えられていますが、商品には体に大切な栄養素や各種ビタミン・ミネラルを含む、人が生きていく上で、重要な食品です。
高齢化社会到来の中で健康を求めるニーズは高まっており、料理の脇役から主役の座に着くのも夢ではなくなってきました。
青果の担当者として、各商品の料理用途を理解し販売を行なうことが必要となります。
青果物を料理するにはメニュー内容や商品により、いくつかのパターンに分けられます。
基本的料理用途に分けて商品をグルーピングします。
 
 
【 青果物と料理用途 】
 
 

料理方法

料理メニュー

商品名

生で食べる

野菜サラダ

レタス・グリーンレタス・サニーレタス・セロリー・パセリ・クレソン・貝割れ・ラディシュ・チコリ

・エンダイブ・トレビス・トマト・ミニトマト・きゅうり・大根・玉葱・アーリーレッド・キャベツ・レッドキャベツ・ピーマン・パプリカ・マッシュルーム・サンチェ・サラダホウレン草・サラダ菜

焼いて食べる

鉄板焼き

網焼き

キャベツ・ネギ・玉葱・人参・なす・松茸・さつまいも・生しいたけ・しめじ・エノキ・ピーマン・ししとう・南瓜・アスパラ・しめじ・にんにく・生姜・とうもろこし・もやし

炒めてたべる

炒めもの

(野菜炒め・炒飯)

キャベツ・ネギ・玉葱・人参・小葱・生姜・生しいたけ・しめじ・エノキ・ホウレン草・キヌサヤ・アスパラ・青硬菜・にら・ピーマン・にんにく・豆苗・もやし

煮て食べる

鍋もの・すき焼き

しゃぶしゃぶ

寄せ鍋・おでん

大根・白菜・春菊・ネギ・生しいたけ・エノキ・しめじ・セリ・三ッ葉・人参・筍水煮・ごぼう・柚子・すだち・カボス・じゃが芋・玉葱・舞茸

煮物

カレー

シチュー

大根・人参・玉葱・じゃが芋・里芋・さつまいも・南瓜・れんこん・ごぼう・かぶ・生しいたけ・しめじ・エノキ・なす・キヌサヤ・いんげん・そらまめ・フキ・生筍・筍水煮・ゼンマイ水煮・冬瓜・切干大根・マッシュルーム・生姜・にんにく

茹でて食べる

おしたし

ホウレン草・小松菜・大根菜・しろな・はくさい・キャベツ・根三ッ葉・せり・にら・わらび・つまみ菜・もやし

あえもの

菜の花・うど・ごぼう・ホウレン草・オクラ・とんぶり・エノキ・なめこ・ワラビ・食用菊・山菜類

ボイルサラダ

ブロッコリー・カリフラワー・人参・アスパラ・玉葱・じゃが芋・南瓜・ごぼう・オクラ・エノキ・しめじ

そのまま食べる

とうもろこし・枝豆・そらまめ・じゃが芋・さつまいも

揚げて食べる

てんぷら

フライ

玉ねぎ・ピーマン・オクラ・ししとう・アスパラ・なす・南瓜・人参・ごぼう・れんこん・きぬさや・いんげん・うど・生しいたけ・エノキ茸・しめじ・舞茸・大葉・みょうが・たらの芽・山菜・銀杏・ニンニク・新生姜

薬味等として

使用する

薬味

添え物

かくし味

ネギ・小ネギ・大葉・みょうが・生姜・にんにく・わさび・レホール・セロリー・エシャレット・葉生姜・紅たで・ほじそ・花ほ・ぼうふう・小菊・木の芽・ハーブ類・シャンサイ・柚子・すだち・かぼす・レモン・ライム

その他

すりもの

長いも・大和芋・山の芋・じねんじょ

加工品そのまま使用

レトルトコーン・レトルト焼き芋・炊き込みご飯の素

果実類

ケーキに使用

イチゴ・キーウィ・メロン・ドライフルーツ類

 パイに使用

りんご・パイナップル・バナナ・ドライフルーツ類

 カットフルーツ類

スイカ・メロン・パイナップル・りんご・梨・柿・イチゴ・キーウィ・オレンジ

 
       
 
       
4.青果物の鮮度判定
 
 
 
?キーポイント?‍?
 
青果物は収穫後も生きているため、鮮度劣化が進まないうちに売り切ることが青果部門の販売の中で最も重要なことです。
青果部門の販売において全体の3~5%はロスとして廃棄となりますが、その数値をできるだけ少なくするために鮮度の判定を的確に行い、見切り、処分、廃棄の販売工程をすみやかに行なうことが大切です。このため商品個々の鮮度の判定について理解しておきましょう。
 
 
(1)鮮度の判定項目
 
青果物の鮮度劣化の現象は、いくつかに分けられます。
商品個々にも少しずつ違いがあります。
そのため、個々の現象とそれに行き着く原因を理解しておきましょう。
 
   

鮮度劣化現象

原 因

商品例

対 応

し お れ

(しなび)

(ボ ケ)

根からの水分が断たれ商品の張りを失ったり、蒸発により内部の水分がなくなるため

葉物類

茎菜類

根菜類

キノコ類

果実全般

蘇生

見切り

処分

廃棄

変  色

収穫後かなり日数が経ている

ため商品が枯れることによる。

果菜類や果実は熟度が進行による。

葉物類全般

茎菜類全般

果菜類全般

根菜類全般

果実類全般

見切り

処分

廃棄

押 さ れ

折  れ

割  れ

収穫後外部から何らかの物理的圧力が加わり変質、変形等をする。

商品全般

処分 又は廃棄・返品

変  質

腐  れ

老化や病害等で著しく品質劣化が激しく商品のとろけ、ずるけ、

変形、悪臭等があり食用に適さない

商品全般

廃棄

賞味期限の

過ぎた商品

加工食品は原則として賞味期限を表示することが食品衛生法で規定されている。

加工野菜・果実

廃棄 又は 返品

その他

商品を包装している資材、容器が破損、汚れたり異物混入によるもの

商品全般

再加工

見切り・処分

 
       
 
鮮度劣化商品は、発見次第速やかに対応することが大切です。入荷時点で発見した場合は商品部へ連絡し、返品し、ロスを未然に防ぐことや、見切り、処分、廃棄と段階的に価格を下げ、できるだけロスを少なくすることが必要です。
鮮度劣化は発見することも大切ですが、鮮度劣化の原因を突き止め、再発しないようにしなければなりません。
注)ここでいう見切り・処分・廃棄の言葉の意味は以下の通りです。
 
 
見切り:当初の売価から原価を割らない範囲で値下げをして販売すること
 
 
処 分:当初の売価から原価を無視した値下げをし、売り切ろうとすること
 
 
廃 棄:見切り、処分をしても販売できなかった商品を廃棄すること 
 
ANKER
 
 
 
第3章 青果部門の商品づくり
 
 
1.作業場の設備及び管理方法
 
 
?キーポイント?‍?
 
青果部門の商品は入荷したものをそのまま売場に陳列し、販売する商品と一度バックルーム等で加工、包装、値付け等をした上で販売を行なう商品があります。
特に鮮度を優先する商品などは、収穫後できるだけ早く販売することが必要です。
商品の品質を維持し、鮮度の良い商品を販売していくため、設備の構造、及び管理方法を理解しましょう。
 
(1)冷蔵庫
 
青果物は鮮度劣化が早いため、温度を下げて呼吸作用を抑え、劣化の進行を遅らせることが必要になります。
また葉物等は、水分の蒸散により商品がしおれたりするため、水分を補給し蘇生を行ないます。
このため、冷蔵庫内は商品の品温を低下させる部分と加湿器を付け湿度を上げる部分がカーテン等で仕切られています。
冷蔵庫の温度は、青果物の活動が低下する 5℃前後に設定し、管理します。
冷蔵庫内は定期的に清掃を行い、清潔を保つことが必要です。
 
 
(2)冷塩水処理器
 
塩分濃度1%の0℃の塩水で品温を下げ汚れや雑菌を取り除き商品を高鮮度に保つ目的で使用します。
開店前の使用が速やかにできるよう前日には処理器の清掃、冷水シンクの点検を行なっておくことが必要です。
 
 
(3)集中作業台
 
加工、包装作業をスムーズにかつ効率的に行なうために、作業台は一定の機能が付いていることが必要です。
使用するトレー、袋、シール、フィルム等がすぐ手の届く所に集中的に配置できるような機能や作業の流れを効率的に行なうために加工商品の置場と加工済み商品の置場を確保しやすいような機能を持った作業台のことで通常システム作業台とも云います。
 
 
(4)シンク
 
青果物の商品は泥やゴミが付着して入荷するため、それらを洗い流すことや蘇生のため商品を水に浸すことのできる機能が必要になります。
このために流し台を深く大型化したもので通常は大小2個備わった2層のものが使用されています。
使用後は水を抜き付着したゴミ等を取り除き周りをよく洗い流して次の作業がしやすい状態にしておくことが必要です。
 
 
(5)製氷器
 
商品の蘇生を行なう時にシンク内の水温を下げるためや、葉物コーナーやカットフルーツ等の売場に敷くための氷をつくる機器です。
使用する目的により製氷の容量やサイズ、形状についていくつかのタイプがあります。
 
 
(6)散水器
 
主に葉物コーナーのケース下部に内蔵されており、商品がしおれたりしないように、霧状の水が散水できるようになっています。
この機器は蛇口の詰まりやホースの破損等で使用できなくなる場合がありますので定期的に点検することが必要です。
 
 
(7)加湿器
 
葉物や洋菜等のコーナーで商品を裸で販売する場合、冷ケース内の湿度不足を補うためケース内に内蔵し定期的に霧を散布する機器のことです。
冷蔵庫内にも蘇生を行なうために備え付けられています。
加湿器のついたケースは汚れが目立つため定期的に霧の出口等のカバーを外し清掃します。
 
 
(8)冷蔵ケース
 
青果部門の売場は冷蔵ケースと平台で構成されています。
平台は主に売込商品を販売する什器ですが、簡易構造になっているため清掃以外には特にメンテナンスの必要はありません。
冷蔵ケースは商品を管理するための機能をもつため、ケースのメンテナンスは定期的に行なう必要があります。
商品の劣化を防ぐため温度は冷蔵庫内と同じ5℃の設定のため、毎日ケースにある温度計をチェックします。
また青果物は裸で販売することがあるため、葉くず等のごみがケース内に付着して冷風の循環を悪くすることがあるため、使用していく中で月1回程度の清掃を行なうことが必要です。
 
 
 
 
2.加工用器具の種類、用途及び使用方法
 
 
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青果物は入荷したままで販売できる商品もありますが、商品のサイズ、形状、品質や値頃、料理用途、販売企画等に合わせた加工を行なうことが必要です。
各仕様に合わせた加工を行なうために、加工用器具の種類、用途、及び使用方法を理解して的確な商品づくりを行いましょう。
 
 
(1)ヒートシーラー
 
青果物をフィルムでパックする時に使用する機器です。商品のサイズにより使用するフィルムの幅を変えて使用できるようになっています。
フィルムを熱板に付けて接着するため手前の熱板の温度をチェックし調整をしてから使用します。
使用にあたってはフィルムをカットする部分は高温を発するため触れないように注意しましょう。
 
 
(2)パックシーラー
 
青果物を袋詰めする時に袋止めとして使用します。
袋を止める時は中の商品がだぶつかないように袋を絞って、止め口を2~3捻ってからパックをすると見栄えの良い商品になります。
また袋の止める位置により、袋の先が長くなり過ぎた場合は、刃でカットしておきましょう。
パックシーラーのテープはいくつか色があるため使い分けして商品管理等(加工日を色で分ける)をすることができます。
 
 
(3)包丁類
 
商品をカットするときに使用します。
商品により、菜切り用、カットフルーツ用、西瓜用、バナナカッター、かたい南瓜をカットしやすいように開発された南瓜カッター等があります。
包丁は切れ味が良いほど商品のカット面がきれいで良い商品づくりとなるために定期的に刃を磨いでおくことが大切です。
またカットフルーツ用、西瓜用等生食用商品の

 

 加工に使用する包丁は使用後は、

 水で良く洗浄し除菌剤をかけて
 から包丁専用ケースに収納します。
 
 
 
 
 
 
 
(4)たばねら
 
葉物類や束物等を結束する場合に使用するためテープは多少水が付着しても粘着するようになっています。
早く結束がしやすくするため、台の固定を確実に行い、多少力が入っても動かないようにしておくことと、テープの回転がスムーズに行くようスプリングの付いたねじを調整してから作業を行ないます。
テープカッターの刃は良くきれるよう点検が必要ですが、ときどき怪我をすることが多いため、使用には注意が必要です。このテープは粘着面を上にしてセットします。
 
 
(5)まな板
 
カットする時に下に敷きます。
キャベツ、大根等のカットに使用するものとカットフルーツ等の生食用に使用するものと必ず分けておきます。
また使用後は水で良く洗浄したのち除菌剤をかけてから収納しておきます。
 
 
(6)オートラベラー(計量値付け器)
 
商品を100g当たりで値付け販売するための計量器です。商品コードを正確につけるためにコード表は計器の近くに
置いておきます。
正しい計量を行なうために、機械の水準点の確認、発行日付、品名、単価、風袋引き等を確認します。
また、日々かなりの枚数を使用するため、ラベルは品切れのないようにして置かなければなりません。
計器は汚れたり、置く場所が悪く台車等が当ったりすると故障の原因になりやすいため清掃、点検等をこまめに行うことや、万一故障したらすぐサービスを呼べるように連絡先が分かりやすいようにして置きます。
 
 
(7)POSラベラー
 
売場等で移動しながら個々の商品の値付けを行なう場合に使用します。
このPOSラベラーは売場で使用しやすく多品種小量の商品を値付けするには適しますが、単品大量の値付けする場合には小型ラベル発行機を使用します。
このラベラーは少し重いため、専用ケースに収納して腰に携帯しますが、精密機器のため落としたりしないように
注意が必要です。
POSラベラー類は故障したり、ラベルが品切れしたりするとすぐ使用できなくなるため使用に関して十分注意が必要です。
特に充電式となっているため、使用後は所定の場所に置き充電をして次の使用に備えておきます。
 
 
 
 
3.青果物の品種別、用途別商品づくり
 
 
?キーポイント?‍?
 
青果物は産地で商品化される商品、加工しないでそのままで販売できる商品、そして、店舗で加工して販売をする商品があります。
商品開発の盛んな企業ほど店舗での加工が少なくなっていますが、商品によっては鮮度を強調するために店舗で加工し販売する商品もあります。
店舗での加工について基本を理解し、質の高い加工商品の販売ができるようにしましょう。
 
(1)良質基準
 
1)商品そのものの品質がよいこと
 
青果物は商品の出回りで最盛期となる商品が基本的には良い商品となります。
従って、加工する商品もその基準を満たしていることが絶対条件です。
具体的には野菜では採れたてに近い鮮度があり、経済連やJA(農協)が決めた出荷基準を満たしている商品です。
果実では野菜の基準に加え味が良いこと、すなわち糖度が品種毎に基準以上であることが必要です。
 
 
【 糖度基準例 】 
※ 以下は、果実の一般的な最低基準でこの数値を下回る場合は良質の商品ではないとされます。
 
   

品目

糖度

品目

糖度

品目

糖度

品目

糖度

柑橘類

10度

メロン

11度

サクランボ

15度

オレンジ

10度

リンゴ

11度

13度

ビ ワ

10度

パイン

14度

ブドウ

12度

10度

西 瓜

10度

キウイ

11度

9度

イチゴ

9度

グレープフルーツ

10度

とまと

5度

 
         
2)適正な包装材料を活用していること使用する包材が商品の規格に適していること
 
商品を何でもよいから包装しさえすればよいということでなく、商品の良さを引立たせ、お客様に購買の衝動を与えるものでなければなりません。
そのための条件は商品の品質、鮮度が分かりやすくなっていることと、地球環境にやさしいものであることが重要です。
例えば、発泡トレーや塩化ビニール材のフードパック類の使用を極力控え、袋を使用するか、焼却しても有毒なガスや物質がでない材質のものを使用するか、店内で回収できるようにしておくか、商品毎に最適な対応をしていくことが必要です。
 
 
3)商品の内容と価格が調和していること
 
商品は使用目的にあった内容で、かつ適正な価格で販売されることが必要です。 
野菜は料理の素材として数種類の品目を使用するため1品当たりの価格は低くし買い易い単価を設定することが大切です。
家族構成と料理用途を想定し、おおよそ一品単価は200円までの値頃としますが、商品によっては買い置きのできるものであれば値頃を上げることも可能です。
この場合あくまで商品のボリューム感や食欲をそそる内容であることが必要です。
商品の値頃は、野菜で300円~500円、果実では700円~1000円を設定することが可能です。
例えば平均家族が3~4人とするならば、デザートに1個250円が値頃のショートケーキを4個購入したとすると1000円となります。
おいしい果実をデザートにと自信を持って販売できれば、1000円値頃でもお客様は価値を認め、十分購入していただけるはずです。
 
 
4)商品化仕様が均質であること
 
商品を加工し売場に陳列するためには商品仕様に一定の統一性がなければなりません。
農産物は細かくは個々に違いがありますが、商品の販売にあたっては、量目、品質、鮮度、味、サイズなどが、どの商品を取っても同じように見えることが大切です。
また均質な商品は商品ロスの少ない販売につながるため、商品化は丁寧に行うことが重要です。
 
(2)商品管理の仕方
 
青果部門の販売商品は鮮度が最も重要な要素の一つです。
店舗での加工を実施していく上で商品を的確に管理できていることが必要です。
 
 
1)加工商品の仕様を決める
 
加工商品は、商品の規格、量目、をどのような加工仕様でいくらで、どこの売場で、いくつ売るのか、を販売に当たって予め決めておくことが必要です。
 
 
2)加工商品の発注数量を決める
 
加工仕様を決めた上で販売目標を決めます。
当日販売数量を必ずしも当日加工することができない場合は、前に前日加工を行なうなどして販売の機会ロスを起こさないようにすることが大切です。
加工の段取りを考慮した上で加工原料の手配をしておくことが必要です。
 
 
3)入荷時の商品管理
 
商品の入荷時には検品と同時に商品チェックを行い商品の規格、品質、鮮度等に問題がないかを確認します。万一問題が発生した場合は商品の状況について、商品部等に連絡を取り対応処置について指示を仰ぎます。
入荷した商品は、加工するまでは、商品の劣化が進まないように冷蔵庫等に保管し、加工する数量を小分けにして作業場に置きます。
加工が翌日になりそうな商品についてはケースに入荷日を記入し、在庫管理を行います。
特に商品により呼吸熱を多く発する商品や、蒸散の激しい商品等は箱の入れ替えや蘇生処理を行なった上で在庫します。
 
 
4)加工時点の商品管理
 
加工時点で再度詳細に商品のチェックを行い、歩留まりと、品質状況を確認しておきます。
青果物は工場生産品と違い産地が異なったり、終了期を迎えた商品などは販売に微妙な影響を与えるため商品の動きに注意をすることが必要です。
特に、日持ちのしないような商品は早く売り切ることが必要です。また加工し終わった商品はすぐ売場に陳列するか、もしくは後になるかの判断を的確に行い、バックルームの置場を決め、補充担当者が分かりやすく、また作業がしやすいようにしておきます。
 
 
5)加工商品のチェック
 
加工のできばえを仕様通りになっているかどうかをチェックします。
仕様包材が正しいか、中身の量目、配置、カットの仕方が適正か、シール、価格ラベルの貼りつけ位置やPOSコード、売価、日付等が適正かをチェックします。
特にPOSデーターを活用するために正しいコードが貼り付けられているか、またPLUやJANコードは正しい売価で登録されているかのチェックを定期的に行うことが必要です。
 
 
6)売場の陳列商品の商品管理
 
商品の加工日付の表示チェックと品質劣化商品や包装破損品等の排除を行います。
チェックした商品は商品状況により、売場でそのまま値引き対応して販売するか、一端B/Rに持ち帰り再加工するかして早く売り切ることが必要です。
 
 
7)加工時のロス処理
 
商品加工する過程で商品の規格、入数、品質、鮮度、味等をチェックし不良商品がそのまま加工されたりしてロスにつながらないようにすることが大切です。
また、加工の際に少なからず発生する半端商品や、加工し損じ商品は放置せずイレギュラーな商品規格にして販売するか、試食等に回すかをして、できる限り良品の状況で商品を処理することが大切です。
 
 
8)陳列商品の回転率向上
 
陳列していた商品が賞味期限や販売許容日数をまもなく超えるようなものや、明らかに鮮度劣化等が発生しているものは早く売切りを行い、良い商品を販売し続けることが大切です。
このため、商品の陳列量ができる限り1日で売切れるように売場を変更したり、陳列量を調整したりすることが必要です。
劣化商品は発見次第 速やかに見切り、処分を行なっていきますが、商品によっては全品を見切りすることが必要な場合もあります。
単品の販売実績を把握して、陳列量を出来る限り1日で売切れる量にすることで商品回転率は向上し商品管理の良い販売が可能となります。
 
 
(3)作業手順
 
加工作業は、迅速にかつ丁寧に行なうことが必要です。
ゆっくりでは加工コストに跳ね返るし、雑では良い商品の販売ができず結果として売上高や荒利益高に大きく影響を与えます。
効率的な作業を進めていくためには作業手順のキーポイントを理解します。
 
 
1)作業計画の作成
 
作業を始めるにあたり作業の目的、目標、実施方法等全体を把握できることが必要です。
事前に作業計画をすることでより効率的作業ができ結果として営業数値を上げることとなります。
 
 
2)作業環境の整備
 
青果部門の販売特性は商品単価が低いため販売点数が多いことと、商品のキロ当たり単価が低いため販売量が多いことです。このため限られた作業場を有効に活用して効率の良い作業を進めていくことが重要となります。
また、商品特性として商品の形状が変形であったり、細かく軟弱なものが多いことや、鮮度を強調した形態であることと、環境保護や省資源タイプの資材の使用が要求されていることなどで技術的に機械化による加工は限られています。
このため加工は人海戦術に頼らざるを得ない面が多いため、作業環境の整備と作業の安全性に関しての配慮をすることです。
一方、食品として衛生面に関しては法令の遵守を行なっていくことは云う迄もありません。
具体的には、作業場の整理整頓、定物定位(予め定められた場所に商品や物を置くこと)の原則、殺菌消毒設備の保持、作業機器のメンテナンス、使用包装材料の手配、POSコードマーキング対応等の作業環境の整備に絶えず注意を払うことが必要となります。
 
 
3)作業割り当ての実施
 
毎日の出勤者毎に、作業の内容と作業時間を明示した作業スケジュール表を作成し個々の作業を管理します。
作成のキーポイントは作業の質と量の把握と作業員個々の技量や役割を踏まえて作成することです。
 
 
4)具体的作業手順
 
作業に入る前に作業を行なう場所の確保、加工商品の確保、包装資材の用意、加工済み(仕越し)商品受け容器の用意を行い、作業場の状況から売場に近い方へ加工済み商品が流れるような作業導線をくみ作業の無駄がなく、隣との作業がバッティングしないような配慮をした上で作業を開始します。
また、作業の種類で、袋詰め、ラップ巻き、水を使う蘇生、衛生管理の必要なカットフルーツ等はある程度同一作業をまとめて行なうようにして作業準備を共有化して効率の良い作業を行なうことです。
また作業は状況により途中で加工済み商品の整理や加工場所周りのゴミやダンボールの片付けを行い再度作業がし易いようにしておきます。
 
 
(4)商品形態
 
青果物はシーズンによる商品の変化、価格の変動(相場)による売価の変化、天候の異変による品質・鮮度の変化等、変化の多い商品です。そのため商品形態は商品の変化に対応してある程度決めて行くことが必要となります。
特に最近では消費者ニーズも多様化しているためそれらに対応した商品形態も新しく品揃えすることが必要となってきました。
商品の変化と消費者ニーズの動向を絶えず見定めて最適な商品形態を創造し続けることが青果部門の販売に求められています。
 
 
 【 商品形態の種類 】
 
商品形態は商品の量目、品質、形状、販売企画等を考慮した上で決めていきます。
青果部門の商品形態は通常つぎのような種類に分けられます。
 
 
1)フィルムパック
 
青果用フィルムを使用して商品をそのまま直に巻き値付け等を行なった上で販売します。
商品によりフィルムを巻く前に商品をトレーやフードパックに入れた上で行なう場合もあります。このフィルム巻きの目的は商品の鮮度保持、商品ロスの軽減売場の汚れの減少等があり商品形態の中でも最も一般的な形態です。
 
 
2)袋詰め
 
量目をまとめて販売する商品でフィルム巻きでは巻けない固体の小さい商品を複数単位で販売する場合の商品形態です。
最近の省資源包装資材の活用が叫ばれている中で青果部門の商品形態として中心のものとなります。袋詰めの良さは商品の販売単位、形状や品質、価格の変化に柔軟な対応ができることです。
そのために最近は販売量の多い企業ではその企業独自に袋の開発を行い商品化の改善を行なっているところも増えています。
POSコード、商品説明、CI等を袋に印刷することで、加工作業の改善にもなるため開発は盛んです。多品種の袋仕様が増えてくると袋の使用ルールや在庫・発注等の管理は重要となります。
 
 
3)ネット詰め
 
袋詰めの一種の商品形態となります。
商品が春先の新玉葱のように水気を多く含でいるものを蒸れないように商品管理するために使用します。
また、中身の色回りの悪い青切りみかん等にネットの色を変え見栄えの良い商品に見せる時や、袋詰め商品の中身の汚れや外皮の剥がれたゴミ等が内側に付着し汚れの目立つ商品などにも使用しています。
 
 
4)裸バラ売り
 
青果物は、本来収穫したままの状態で販売することが最良の販売形態とされていますが、セルフ販売が主流の中ではすべての商品を行うことはできません。
週別販売企画の一部や、こだわり商品、低単価で加工コストがかけられない商品等の販売時の商品形態となります。
この商品形態は鮮度や商品の良さが分かりやすいメリットもありますが、時間の経過に伴い、包装資材を使用した商品形態のものと比較すると商品の劣化が早くロスが出やすいデメリットも有ります。
従って、バラ売りでの販売には商品回転率を高めるような販売対応が必要となります。
バラ売りは、商品に何も手をかけないでそのまま販売するのが原則ですが、商品によってはテープ等で束ねたりして販売するような形態もあります。
葉物等鮮度を要求される商品は、この販売を積極的に行なうことで、店舗が評価されることも多くなっています。
商品を限定し青果物本来の良さを引き出すため効果的に実施していくことが必要です。
 
 
5)盛り売り
 
包装資材を使いバラ売りの良さを付け加えた商品形態でシーズンの商品を量販する場合に良く使われる商品形態です。
レジで容器を回収し商品の中身のみを持ち帰りできるためゴミが出ないことと販売側からは包装資材コストが安く済むメリットがあります。
商品の販売単位に合うようにいくつかの規格を用意しておきます。通常 資材はフードパックタイプとザルタイプ等がありますが販売企画により使い分けします。
 
6)アウト加工商品
 
作業効率の向上や均質な商品を販売していくためにアウト加工を増やす企業が多くなっています。
青果部門の販売は素材商品が中心ですが、最近の消費の多様化により素材をそのまま販売するだけでは売上の拡大は望めません。
 使用目的にあった規格や
 機能を持った商品が多数
 出回っているため商品の
 特性を良く理解して販売に
 当たることが大切です。
 
 
 
 
 
4.包装及び値付け
 
 
 
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青果物の包装は商品の保護や販売者側の意図した商品化をするために必要な機能です。
一方値付けは包装された商品が販売されていく過程で商品の価格や表示等を商品に付け、お客様が購入する際に必要とする機能です。
 
(1)正しい包装作業の原則
 
商品は販売者の意図した規格で商品化するために包装をしますが、包装にあたって商品化の主旨を理解して正しく行なうことが大切です。
次のキーポイントを確認して作業に取り掛かるようにします。
 
 
1)正しい包装資材を使用すること
 
商品は決められた包装資材で加工することにより価値のある商品となります。
商品本来の包装資材を活用し最適な販売をしていくことが重要です。
 
 
2)良品で均質な商品を包装加工すること
 
一つ一つの商品の鮮度、品質がレベル以上で形状等の均質な商品を包装加工することが必要です。
包装に当たっては商品を良くチェックして不良品が混入しないよう注意して行なってください。
 
 
3)包装の出来栄えが良いこと
 
包装資材と商品が正しくても包装そのものが粗雑では良い商品化とは云えません。
加工包装技術向上に向けて絶えず努力をしていくことが大切です。
 
 
4)効率の良い包装加工であること
 
包装作業は丁寧に行なうことは重要ですが、ある程度の基準のもとで効率良く行なうことが必要です。
商品毎の標準包装加工時間を設けてその時間以内で正しい商品化ができるようにしていきます。
※ 包装作業は作業そのものを行なうことは重要なことですが、通常店内加工作業では色々な作業を同時に行なっています。
ひとつの作業をする中でその作業の目的を理解した上で次に発生する加工作業が効率良く運ぶように段取りをすることが大切です。
 
 
(2)フィルムの巻き方
 
フィルムは商品の保護のために巻きますがただ巻けばよいと云うことでなく、商品が見えやすいようにすることが必要です。このため商品の表面はフィルムが十分に張ってあることがキーポイントです。
ストレッチフィルムは引っ張るとかなり伸びるため実際に伸びの状況を確認して作業に掛かります。
また、フィルムは商品のサイズに合わせて行けるよういくつかのサイズがありますから必ず商品の規格に合ったフィルムを使うようにします。
ストレッチフィルムはかなり弾力性がありますが、商品や容器が鋭利に尖っている場合は、破れ易いため商品自体の尖っている部分をカットするなどして破れないようにすることが必要です。
 
 
(3)袋の詰め方
 
袋の詰め方は商品を詰め、入口を止めた時に中身がしっかりと固定されていることが必要です。
また商品を詰める際に一つ一つの商品の向きを一定方向にするときれいな商品化ができます。
袋の規格や機能、詰め方を良く理解した上で作業を行ないます。
 
 
 
(4)値付けラベルの位置
 
商品の値付けは売場に陳列した時にお客様が見易いようになっていることが必要です。
またある一定の位置に統一した方が分かりやすく売場もきれいに見えます。
付ける位置は通常商品の右上の部分とする企業が多いようですが商品により真ん中に付けたりするものもあります。
お客様に分かりやすく陳列時に統一が取れていることがキーポイントです。
 
 
(5)値付けラベルの貼り方
 
 ラベルの貼る位置が決まれば実際に加工商品に貼ります。貼る場合ラベルシールの裏側は粘着シートになっているため、一度商品に付けると取り剥がすことは難しくなるため予め貼る位置を見定めた上で行います。 
万一、貼り方が悪い場合は再度商品を包装し直してから貼り直すようにした方が作業は早く済みます。
シールにはバーコードが印刷されている為しわになったり、

 

 歪んだり、切れたりしていると
 POSレジで読み取れないことも
 あるため注意が必要です。
 
 
 
ANKER
 
ANKER
 
 
第4章 青果部門の鮮度管理
 
 
1.鮮度管理の知識
 
 
?キーポイント?‍?
 
生鮮食品は鮮度が最も重要な商品価値となります。
このため生鮮部門のひとつである青果部門の販売において鮮度管理の知識を持ち、販売活動を行なうことが大切です。
鮮度管理は商品の温度を下げ呼吸作用を抑え商品の劣化を防ぐ目的の温度管理、商品の蒸散によるしなび、変色と変質を防ぐ湿度管理・冷風管理、と販売にあたり、商品に雑菌等が付着して起こる商品の腐敗やそれらを食べることから起因する食中毒等を防ぐための衛生管理等があります。
この項ではそれらの管理知識を学びます。
 
(1)冷蔵庫
 
(1)温度管理
 
青果物は常温では呼吸作用が活発となり鮮度劣化や商品の持つ養分が消耗し商品の価値が低下します。
鮮度劣化の速度を遅らせるため外気温度を2~5℃に設定した冷蔵庫や冷蔵ケースに入れ商品を管理します。
しかし、商品によっては温度を下げ過ぎると商品に障害を起こす品目もあるため商品を置く場所には注意が必要です。
冷蔵庫、冷蔵ケースには温度計が付いているため1日に3~4回程度は設定温度が保たれているかをチェックすることが必要です。
 
★ 鮮度管理の第一は、決められた温度管理 ★
      
 
 
【商品毎の管理温度】
 

温度 →

0~5℃

6~10℃

11~16℃

野 菜

大根・人参・白菜・キャベツ・レタス・アスパラ・コーン・ホウレン草・ニラ

ごぼう・キュウリ・ピーマン・いんげん・キヌサヤ・セロリー・玉葱

トマト・かぼちゃ・さつまいも・ナス・ジャガ芋

果実

リンゴ・ブドウ・モモ・イチゴ・梨

西瓜・メロン・ミカン

バナナ

 

    
1)温度管理の注意点
 
青果物の呼吸作用を抑えるため外気温度を下げ、商品の品温を5℃前後に保つことが温度管理の基本となります。このため、現在では産地で収穫後直ちに品温を下げる処理を行ない、冷蔵車を使い、市場へ配送をしています。
市場でも冷蔵の保管場所に入れた状態で販売が行なわれ、店舗への配送は保冷車が使用されるようになっています。
店舗では温度管理を確実に実施しお客様にいつも鮮度の良い商品を販売し続けることが大切です。
 
 
 
2)温度管理のキーポイント
 
➊ 青果物は温度管理を行なえばいつまでも鮮度が保てるわけでもなく、時間の経過に伴い品質は確実に低下します。
このため店舗に入荷したら出来るだけ早く売り切ることが重要です。
在庫となる商品には入荷日を記入し先入れ先出しを徹底して古い商品が残らないようにします。
 
 
➋ 商品は個々に適正な温度帯の場所に在庫しますが、在庫する 前に入荷時必ず商品の状態をチェックすることが必要です。青果物は収穫時の天候や生育状態や途中の業者の管理状況により問題となる商品が入荷しない保証はありません。
特に、収穫時、雨にあたっている商品、病害虫に侵されている商品、老化現象を起こしている商品等は温度管理を適正に行なっていても商品の劣化は早く進みます。
 
 
➌ 商品の適正な温度帯を良く知り、間違った温度管理をしないことです。
例えば常温で管理する 商品を低い温度にすると冷蔵障害を起すため注意が必要です。
 
 
➍ 冷蔵庫も冷蔵ケースも設定温度を決めて温度管理できるようになっています。
温度計のチェックを定期的に行い異常温度にならないようにします。
しかし温度設定に問題がなくても商品の在庫の仕方が悪いと冷気が対流しなくなり冷たい空気と暖かい空気の対流ができず部分的に商品劣化が進みます。
このため商品の在庫は冷気が対流しやすいようにケースとケースの間に隙間があるようにします。
 
 
(2)湿度管理・冷風管理
 
青果物は土中から水分と一緒に栄養分を吸収し、余分な水分を放出する蒸散作用を行ないます。
根から水分等を断たれると商品にしなび等の異変が起こるため、人工的に湿度を高め蒸散の度合いを出来るだけ少なくし、鮮度を維持することが湿度管理です。
通常は湿度が90%前後の冷蔵庫に入れ管理しますが、蒸散の激しい葉茎菜類は蘇生を行い、水分を補給した後、冷蔵庫に入れます。
このように、青果物は品温を下げ管理していく中で湿度を100%にする葉茎菜類と、温度を下げるだけの果実や加工品等を冷蔵庫内で分けて管理します。
通常100%湿度を必要とする商品をカーテン等で仕切り、そこに加湿器を備え霧を放出するスペースを冷蔵庫内に確保しているため、葉茎菜類等はそこで管理していきます。
その他の商品は温度を下げて管理していきますが、青果物は商品により、老化を促進するエチレンガスを発する商品(例えば、リンゴ類)や冷蔵庫内に入れる商品の量が多くなると冷風が庫内を対流しにくくなり、エチレンガスが溜まったり、商品の隅々まで一定に温度を下げることが
できなくなります。
冷蔵庫で商品を管理していくには冷風が商品周りに良く循環するように商品の置場や置き方に注意するようにします。
 
 
 【 野菜の貯蔵に適する湿度・温度の条件 】
 
 
 

温度 →

↓温度帯

低湿度

(70~75%)

中湿度

(85~90%)

高湿度

(90%以上)

0~1℃

 玉葱

 ニンニク

 サヤエンドウ

キャベツ・白菜・カブ・大根・人参・レタス・ネギ・アスパラガス・ホウレン草・セロリー・イチゴ

7~10℃

 

 サヤインゲン

 ピーマン

キュウリ

さといも

10~13

 カボチャ

 ナス・メロン

 スイカ

 ジャガ芋(秋取り)

オクラ

13度℃以上

 

 サツマイモ

 トマト

 ジャガ芋(春取り)

生 姜

 

 
 
2.衛生管理
 
 
?キーポイント?‍?
 
私たちの仕事の第一は、お客様の『 食の安全 』を日々守っていくことです。
万が一 食中毒が発生した場合、大きな社会的責任が問われます。
スーパーマーケットは、お客様 (地域の生活者)の 食生活を支える担い手であり、常に安全・安心な食品をご提供することによって、地域のなくてはならないライフラインとしての役割を果たしています。
食は命に直結していることをいつも認識して衛生管理を徹底して仕事にあたりましょう。
 
(1)店舗での衛生管理の基本
 
入荷した商品は、そのまま販売する商品と店内で加工値付けなど 何らかの手を加えて販売していく商品があります。
店内加工の商品は包装、袋詰め、カット、盛り付け等があり、それらは不特定多数のお客様が購入していくため、商品が衛生的でかつ安全なものでなければなりません。
生命と健康のもととなる食品も一歩誤ると食中毒や伝染病などが起こり、ひどい時は死を招くことさえあります。
その原因は大きく分けると細菌と化学物質となります。
関係するすべての部署で発生原因を防ぐ手立てを講じることが必要です。
会社のルールに則り、遵守することが大切です。
 
 
安全 と 安心
 
 
★みんなで徹底、会社で決められた衛生管理★
 
ANKER
 
 
第3章 青果部門の売場づくり
 
商品の変化に対応して売場の棚割変更や、平台のレイアウト変更を行ないます。
売込の度合いにより売上が大きく左右されるため、売場づくりは重要となります。
また、青果物の販売は、商品化の良し悪しだけでなく、陳列の仕方により売場の迫力が大きく異なり、売上に影響します。
特に旬の商品やB・Cクラスの商品などは売場づくり(売場の演出)で売れ行きに大きな差がつくことがあります。
 

1.売場レイアウト

?キーポイント?‍?
 
売場レイアウトは商品の販売実績に基づき決めて行きます。
個店の販売実績だけでは正確な実績は把握出来ないのであれば家計調査のデーターを参考にすることも有効です。
月ごとの単品販売実績を把握して売場の棚割り、レイアウトを決めていきます。
 
(1)売場レイアウト作成の手順
 
品揃えを決める  

月間・シーズンの品揃えを決める

   

販売形態&

商品化を決める

 

販売形態·································· パック、盛り売り、バラ売り、裸、等

商品化··········· 包装資材(トレー、袋、テープ等)

マーキング方法··· ソースマーキング&インストアマーキング

   

コーナー分類を

決める

 

料理用途······················ サラダ、鍋物、焼き物、てんぷらフライ

品種・品群·················· 葉物、水物、土物 イチゴ ミカン

 商品特性による分類·· 有機農産物、地元野菜

   
コーナースペースを
決めてから陳列位置
を決める
 

※コーナースペース比率を決める

生食

24%

葉物

17%

季節

22%

キノコ

11%

水もの

12%

土もの

14%

    ※コーナー内の位置を決める
トマト キュウリ レタス

アスパラ

ガス

ブロッ

コリー

キャベツ ほうれん草

(2)季節の訴求
青果部門の売場は季節や鮮度感を演出してお客様に心地よい買物をして戴かなければなりません。このため青果売場ではいつも季節や鮮度を意識した売場づくりをしていくことが必要になります。

 

(3)季節の演出
 青果物の季節は主に年1作の果実を中心に行います。このため売場の最も目につく場所(平台のトップやオープンケース下段)に季節を演出する商品を優先的に陳列します。

季節演出商品

 

果 実

野 菜

1月

イチゴ ミカン 伊予柑 スィーティ ふじ

白菜 ネギ 大根 エノキ ホウレン草

2月

イチゴ 伊予柑 八朔 ふじ スィーティ

キャベツ 白菜 ネギ エノキ ブロッコリ

3月

イチゴ 伊予柑 オレンジ グレープフルーツ 清見

生たけのこ 生ふき ウド 春トマト 春キュウリ

4月

イチゴ 甘夏  オレンジ グレープフルーツ メロン

生たけのこ 生ふき ウド アスパラ カブ

5月

メロン スイカ バナナ サクランボ グレープフルーツ

山菜 長なす アスパラ 玉葱 じゃが芋

6月

メロン スイカ サクランボ ビワ デラウエアー プラム

ラッキョ 新ショウガ コーン 枝豆 うめ

7月

デラウエアー スイカ モモ メロン プラム

キュウリ ナス トマト コーン 枝豆

8月

デラウエアー スイカ モモ 幸水 巨峰 つがる

キュウリ ナス トマト レタス いんげん

9月

巨峰 つがる 幸水 豊水 ミカン 柿 クリ

松茸 しめじ すだち カボチャ ナス

10月

ミカン つがる スターキング 豊水 柿 クリ

松茸 生椎茸 さつま芋 里芋 じゃが芋

11月

ミカン ジョナゴール 王林 ふじ ラ・フランス

長芋 ニンジン 玉葱 さつま芋 里芋

12月

ミカン 王林 ふじ 甘栗 新興梨 ラ・フランス

大根 蓮根 ゴボウ 白菜 ネギ ホウレン草

 

 

(4)棚割り

 お店の方針に基づき売場づくりをします。売場づくりの基本はまず第一に売場を構成する商品を同一品群・料理用途・その他に分けてコーナーづくりをします。そして、販売量によりコーナー内の棚割及び売場全体の中でのコーナースペース割りを決定します。

【同一商品群によるコーナー例】

野菜

葉物・土物・水物・果葉・きのこ

果実

りんご・ミカン・柿・ぶどう・梨・桃・メロン・輸入柑橘

ドライフルーツ

 

【料理用途によるコーナー例】

野菜

サタダ・てんぷら・フライ・煮物・炒め物・鍋物・薬味

果実

カットフルーツ・デザート

 

【その他(企画・販売形態など)】

野菜

均一・バラ売り・地元・産直・対面

果実

 

 
(5)コーナーの例
【野 菜】
生食サラダ 葉物 きのこ 季節 水もの もの
鍋もの
        季節によって以下に変更    
     

てんぷら ・焼き物

 ・フライ ・炒め物

 ・煮物

   
 
【果実】
国産果実 輸入果実

いちご

ミカン

りんご

その他

国産

グレープフルーツ

オレンジ

その他

バナナ

 季節によって以下に変更  季節によって以下に変更        

 ・カットフルーツ

 ・デザート

 ・ギフト

 ・メロン

 ・ぶどう

 ・梨 ・柿

       
 
 
 
 
● おわりに
 
ちょっと理屈っぽい言い方をしますと、私たちスーパーマーケットは、< 物販販売業 >であると同時に 、< 接客業 > でもあります。
ただこの < 接客業 > が一般と若干異なっている点は、サービスを受ける側のお客さまが < セルフ > で< 商品を購入 >されると云う点です。
自らが自らにサービスしての購買行動です。
とすると、店舗での販売員は < 商品 > に < サービスを代行 >してもらっているということにもなります。
ここで < 販売員 = 商品 > という図式が成り立ちます。
商品に <接客のあり方> を教え込まなければなりません。
接客に際しての原点は3つの項目に要約されます。
 ➊ よい商品 を  ➋ より安く  ➌ 心のこもったサービス で対応することです。
新鮮で、安全で、値打ちのある商品を、常に安く、安定して提供することに尽きます。
販売員が心底からこの3つの項目を理解し、徹すれば、< 一心同体の商品 > もそれに応じてくれます。
そのやりがいがあり、奥の深い仕事の一つひとつを、青果担当者は、お店のとっ先にある青果売場で実践しましょう。
カッコよく表現すれば青果売場が < SMのナビゲーター > と言うことです。
 

 

SMの店舗の興廃は青果売場の
 良し悪しにかかっているという
 ことを念頭に置き、飽くことなく、
 日々励みましょう。
 それは、誰のためでもなく、
 あなた自身の人生を豊かに
することですから。