鮮魚部門

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?? はじめに ??

 
? 本教材の記載内容は一般的なものとなっていますので、実際の仕事では、各社のルール、マニュアルに則って、作業を行ってください。
ANKER
第1章 鮮魚部門の役割と現状
 

(1)鮮魚部門は鮮度のバロメーターであり差別化部門
1)鮮魚部門は、スーパーマーケットの店舗の中で最も加工作業の多い部門です。
そして、日々入荷する商品が変化し、それぞれの魚種で取り扱いに差があり、高い技術が求められる部門でもあります。
また、水産物には季節の旬の商品が数多くあり、季節感の訴求に大きな役割を果たします。
そして、働く皆さんの知識と技術が商品、売場にはっきりと表れる、店舗にとって、他店との違いを訴求できる、集客力、差別化、鮮度感を決定する重要な部門となっています。
つまり、鮮魚部門は、価格だけではなくお客様(固定客)を引き付ける、その企業、店舗独自の魅力を作ることができる店舗の顔と言えるのです。
商品に関する専門知識、鮮度管理、食べ方など覚えることも多いのですが、それは、それぞれの地域の食文化をもっと深く知ることでもあり、また、家庭の食卓をより健康的で豊かにすることにも通じる暮らしに役立つ知識でもあります。
 四面を海で囲まれた日本では、かつては食卓で鮮魚がメインのおかずとなることが多く、また、西洋が肉や野菜に味のベースを求めるのと対照的に、わが国では煮干、昆布、鰹節などの海の幸のうまみをダシとして用いてきました。
最近は若年層から魚離れが進んでいると言われていますが、それはお客様のニーズが多様化したためで、決して水産物が敬遠されているいうことではありません。
むしろ水産物は、世界的に健康食品として注目されており、多国間の資源獲得競争の中で貴重なものとなりつつあり、安全で新鮮な水産物を求める声はますます大きくなっています。
売場に並ぶ魚種も変化し、お客様の消費行動、料理方法も今までと違ったものになってきています。
私たちは、こういった変化に対応しながら、お店の顔としての鮮魚部門をより魅力的なものとなるよう、知識と技術のレベルを向上して行く必要があります。

 ●鮮魚はお店の顔、
  世界的な資源問題と
     お客様の変化に
     対応できる知識と技術
 
 
 
 
 
2)SMの鮮魚部門の特徴と役割 鮮魚部門は取り扱う商品の関係上、他の部門と異なり以下のような特徴があります。
 
1.原材料が生鮮物のため、腐りやすい。
 
2.丸魚や切身等の約20~30%を占める商品が海の状況により未入荷の場合がある。
 
3.相場変動が大きいため、利益のコントロールが難しい。
 
4.同じ魚種でもサイズが違うことが比較的多い⇒ 販売形態や売価が変わる。
 
5.仕入形態と販売形態が違う場合が多い。刺身、切身、エビ等)

スーパーマーケットは、限られた商圏(小商圏)のお客様が、毎日の食事の支度をするために、普段着で気軽に頻繁に買物をする店舗であり、パートナーとしてその期待に応えることが求められています。
店舗で優先されるのは、特別な商品の販売ではなく、生活必需品が、お客様の求める品質、鮮度、価格で品切れすることなくいつも売場に揃っていることです。
特に水産物は、食肉と並び食卓のおかずのメインとなる食材ですので、お客様の多くがその時期に購入する商品については、品切れしていたり、鮮度が劣化していると信用を失ってしまいます。
しかし、これを店舗で日々継続していくということは、簡単なことではありません。
天候や曜日による客数の増減、入荷商品が常に安定しているわけではない・・・など、生鮮の商品は、品質や鮮度の管理について深い知識と高度な技術が要求されます。
さらに、今後の鮮魚部門の対応すべきキーポイント
として以下2点があげられています。

1.簡便性商品の提供 ➠ 骨を取り除いた商品など簡単で、短時間で調理できる。

2.料理の提案 ➠ 魚種ごとにおいしい食べ方、調理方法の提案

つまり、お客様のかかえる問題に対して、解決策を提案していくことが求められているのです。
さらに、地元で採れた魚と伝統的な料理の紹介など、地域に密着した取り組みが各社それぞれで推進されています。

●鮮魚部門の使命●
 季節ごとに多くのお客様が
 購入する商品が、新鮮で、
 品切れなく売場に
 揃っていること
 
 
 

3)日本における水産物流通経路

水産物がどのような流通経路で、私たちの店舗まで送られてくるのかを知っておくことも必要です。

下記は一般的な流通経路ですが、これだけの人の手を経てきた水産物を、最終的にお客様にお届けするという役割を、私たちは担っているわけです。

➊ 漁業者 ➋ 産地市場 ➌ 卸売業者(漁協等) ➍ 買受人(産地出荷者・加工業者等) ➎ 消費地卸売市場 ➏ 卸売業者 ➐ 買受人(仲卸業者・小売業者等) ➑ 食品卸売業者等 ➒ 小売業者・外食業者 ➓ 消費者

⓫ 産地卸売市場:漁業者が水揚げした漁獲物の集荷、選別、販売を行う。
⓬ 各産地卸売市場等から出荷された水産物を集荷し、用途別に仕分けし、小売店等に販売する。
 
ANKER

 
 
第2章 鮮魚部門の商品特性
 
1.鮮魚の特性
 
?キーポイント?‍?

 
水産物の最大の特性は、他の食品に比べ鮮度低下のスピードが速いことです。
変質、腐敗にともない、味だけでなく、食中毒の可能性も高まります。
また、種類が非常に多く、季節ごと、地域ごとに商品名も含め多種多様です。
そして、農産物や畜産物に比べ、水産物は、養殖が増えていますが、多くが自然(世界中の海)からの漁獲であり、量、品質とも不安定で予測しづらい特徴があります。
(1)鮮度と味

まず、魚の鮮度と味の関係を理解する必要があります。
鮮度とは新鮮さの度合いで、一般には収穫時に最高で時間の経過とともに低下します。
鮮度の良さがおいしさを ほぼ決定づける農産物や水産物では、鮮度が最高のものが品質も最高となります。
一方、果物や畜肉などでは収穫後や食肉処理後に熟成や追熟が必要なものがあり、その場合、食べ頃と鮮度の最高時点は一致しません。
水産物は死んですぐには、身が柔らかく、だらりとしていますが、しばらくすると死後硬直といって硬くなります。
さらに時間がたつと再び柔らかくなってきます。
新鮮で「活きがよい」といえるのは、死後硬直中のものです。
また、魚肉が柔らかくなってくると自己消化が進行し、分解物としてタンパク質からグルタミン酸、ATP(アデノシン三リン酸)からイノシン酸といったうまみ成分が生成されてきます。
つまり、死後しばらく時間が経過した方が魚はうまさを増します。
刺身では、食感もおいしさの重要な要素となります。
白身魚では、硬直中の締まった肉質で、なおかつうま味成分も生じてきた時期が刺身の食べ頃といえます。
マグロやブリでは、ある程度柔らかい方が好まれ、硬直が解け、うま味が増した時期がおいしいといわれています。
つまり、刺身では魚種によって、獲れたてが必ずしも一番おいしいとは言えないのです。


(2)鮮度低下のメカニズム
水産物は、微生物による腐敗が発生する前から、自己消化によって鮮度は低下していきます。
自己消化とは魚自身の酵素によってタンパク質などの物質が分解していくことです。
自己消化が進んでいくと、うまみ成分も分解して「ドリップ」となって流出してしまいます。
その後、腐敗が始まります。
死後硬直の継続時間や自己消化の進行速度は、魚種によって異なりますが、漁法やシメ方、温度によっても左右されます。
魚の鮮度指標としてK値と呼ばれる数値が広く使われています。
酵素による自己消化の段階の指標となる数値で、K値は低いほど鮮度がよいことを表します。
K値が約20%までは、刺身として適当とされ、60~80%に達するものは腐敗が始まっています。
K値の変化をみると、鮮度低下の速度は一般にサバやイワシなどの青魚や白身魚でもタラ類は早く、タイやヒラメのでは遅くなっています。
鮮度は、漁法やシメ方が影響するのは、魚が死ぬまでにあばれたり、時間がかかると、タンパク質の分解=自己消化が活発になるからです。
その場合、死後硬直が早く始まり、継続時間も短くなります。
即死させる活きジメがいいのはそのためで、魚の体調を回復させるために一日生けすに置いてシメるのが、最も活きがいいといわれています。
温度は高いほど自己消化の進行が早まります。
冷塩水処理には、重要重要な意味があります。

魚の死後の変化

➊ 生 ➋ 死  ➌ 死後硬直  ➍ 完全硬直  ➎ 解硬    ➏ 腐敗   ➐ 自己消化 ➑ 細菌による腐敗  ➒ 鮮度が高い   ➓ 鮮度が低い  ⓫ 活魚 ⓬ 生鮮魚 ⓭ 鮮魚 ⓮ 刺身用    ⓯ 調理用 
 
 
 
 
2.水産物の栄養素と味(うま味)
 
 
?キーポイント?‍?

 
水産物には、タンパク質以外にも健康を維持・増進していく上で有効な成分が多く、栄養素の宝庫と言えます。
単に栄養補助としてだけではなく、病気の予防や老化防止の側面からも注目されています。
それぞれの魚の栄養素と効能を知り、バランスのとれた食生活を提案しましょう。
 
 
(1)水産物に含まれる栄養素と効能
 

栄養成分

効能

主な水産物

タンパク質

身体の成長・維持に役立ちます。

代謝を盛んにし、身体に活力を与えます。

カツオ・サバ・サンマ・ブリ等

カルシウム

骨・歯をつくります。
いらいらストレスを解消します。

小魚類・アジ・アナゴ・イワシ等

DHA

(ドコサヘキサエン酸)

脳の成長・発達を助けます。

細胞を活き活きとさせます。

マグロ・アジ・サバ・イワシ・カツオ・サンマ等の青魚など

EPA

(エイコサペンタエン酸)

血中のコレステロールを低下させます。
動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中を予防

します。

タウリン

視力の衰えを防ぎます。
血液のコレステロールを低下させます。

イカ・タコ・貝類 及び及びノリ・魚の血合い

血液をつくります。
臓器の働きを正常に保ちます。

貧血を防ぎます。

かき・あさり・もずく

ビタミン類

ビタミンA:皮膚や目、口腔、消化管、気管などの粘膜維持

ビタミンB1:知覚機能の維持、脚気の予防

ビタミンB2:体の発育

ビタミンB6:皮膚炎症の予防

ビタミンB12:悪性貧血、不妊症の予防

ナイアシン:皮膚炎、胃腸疾患、不眠や無気力などの神経疾患などの予防

ビタミンD:カルシウム、リンの吸収促進

ビタミンD:老化現象の進行抑制、生体膜を健全、生殖機能を維持

海藻類や魚の内臓

 

 
 
 
(2)水産物のうま味
水産物のタンパク質にはイノシン酸が多く、それが『うま味』となっています。
このうま味はダシとして日本料理のベースとなっています。
このイノシン酸以外にもうま味成分グルタミン酸がコンブ・青魚・貝類には、多く含まれています。
、 水産物にはこの他に様々なうま味成分が魚種ごとに含まれて各々の味が形成され、それは、産地・季節・成長度合によっても異なりますので、他の食品にない多様な味を楽しむことができます。
例えばサンマは、タンパク質中のイノシン酸が多い上に、焼いた時に脂肪油が表面に出て『脂味』が倍加されて特有のうま味を感じますが、脂肪油は常温でも味わえるため、刺身では『うま味』にやや抑えた『脂味』が混じったうまさを味わうことができます。
さらに、サンマは太平洋と日本海では脂の乗りが異なり、産卵の前後でも味が大きく変わります。
サンマ、ブリ、カツオ、マグロ等の春から夏に日本近海を北上する回遊魚はオキアミなど動物性プランクトンを摂餌しますが、三陸沖などで脂肪油をたっぷり含んだプランクトンを食べて脂肪油を蓄えますので、北や秋から冬の南下(下り)の魚には脂がよく乗っています。
魚は変温動物で体温が低いために油脂分が常温では液体(脂肪油)で、脂肪油は不飽和脂肪酸を多く含み、ラードや霜降り(脂肪交雑)のように分離せずに筋肉内に液体として浸潤した状態で含まれるため、脂が乗ったサンマ・寒ブリ・トロなどは肉全体が白っぽく見えますが、その状態こそ健康上安全な性状を示していると言えます。
魚介類の脂肪油に含まれる不飽和脂肪酸は中性脂肪やコレステロールを減らす作用があり、高血圧・動脈硬化の予防や治療に効果があると言われ、イワシ・アジ・サバなどの青魚やブリ・カツオ・マグロなどに多いオメガ3系のDHAとEPAは、脳梗塞・心臓病・腎臓病・痴呆などの予防に有効で、食肉に多い飽和脂肪酸や植物油に多い不飽和脂肪酸の過剰摂取が関わると見られる大腸ガンの予防にも効果があるとされ、ミネラルやビタミンと併せて、健康な体の形成に不可欠です。
私たちには、この水産物持つうま味や健康的な食生活に必要な栄養素を知り、季節、旬ごとにおいしい食べ方、料理方法などをお客様に伝えて行く役目があります。
 

●お客様に健康維持の成分、
 おいしい食べ方、
 手軽な料理方法を
 お伝えしましょう
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
3.水産物の旬、料理メニュー
 
 
?キーポイント?‍?

 
水産物の重要な特徴として、ほとんどの商品に旬があり、店舗全体の季節感の演出に重要な役割を果たしていることです。
さらに、種類が多いこともあり、お客様からは、食べ方、つまり料理方法についての質問もよくあります。
栄養素の健康効果と料理方法に知識を深める必要があります。
 
(1)水産物の旬
水産物の旬は、一般的に脂がたっぷりのった産卵前で、市場に大量に入荷され、価格も1年で最も安い時期を言います。
ただし、5月のカツオのように例外の魚介類も存在します。
新物は、旬の走り(最初の約1カ月間を言う)の生魚介類と、旬の生魚介類を塩干や冷凍品に加工して市場に出荷したものを言います。
また季節商材とは、旬でも新物でもないがその季節に必要な商材のことを言います。
地域によって異なる場合もあったり、旬が季節をまたいでいることもありますが、以下の表には、季節を代表する魚をまとめたものです。
まずは主力となる魚の旬をしっかり覚えましょう。
 
 

季節

旬の水産物

アオヤギ、アカガイ、アサリ、キンメダイ、コウイカ、ゴマサバ、サザエ、サワラ、タラバガニ、ニシン、ハマグリ、ホタテガイ、マイワシ、マガレイ、マダイ、マナガツオ、ヤリイカ

アオリイカ、アユ、アワビ、イサキ、イシモチ、イワナ、ウナギ、カワハギ、カンパチ、キス、キハダマグロ、ケガニ、シイラ、シタビラメ、シマアジ、スズキ、トビウオ、バフンウニ、ハモ、ビンチョウ、マアジ、マカジキ、ムラサキウニ、ヤマメ

アカイカ、アマダイ、アンコウ、カツオ(戻りカツオ)、カマス、カワハギ、キンメダイ、サワラ、サンマ、シラウオ、スルメイカ、ズワイガニ、生秋サケ、生イクラ、生カキ、生スジコ、ハタハタ、ハマグリ、ホッケ、マサバ、マダラ、ムロアジ、メバチマグロ、モドリガツオ、ヤリイカ

アラ、カワハギ、クルマエビ、クロマグロ(親)、ケガニ、サワラ、シジミ、シシャモ、シラウオ、トラフグ、ハタハタ、ヒラメ、ブダイ、ブリ、ホタテガイ、ホッキガイ、ボラ、マガキ、マガレイ、マコガレイ、マサバ、マダコ、ワカサギ

 

 

(2)水産物の料理メニュー
水産物の料理方法は、種類の多さに比例して多岐に渡ります。
“調理が面倒”“骨がある”と言った魚を敬遠する理由に対して、メニュー提案や地域の伝統的な食べ方を発信していくとこが求められます。
 

⬇魚種

メニュー➡

お造り

たたき

あらい

マリネ

塩 焼

照り焼

バター焼

唐揚げ

竜田揚げ

フライ

天ぷら

煮魚

あら煮

味噌煮

甘露煮

鍋 物

干 物

みそ漬け

カルパッチョ

つみれ

南蛮漬け

アイナメ

 

 

     

 

   

 

 

             

ア ジ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ア ユ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イサキ

   

 

     

 

     

 

 

             

イシモチ

 

 

     

 

   

 

 

         

 

イトヨリ

     

 

 

   

 

   

 

 

             

イワシ

   

 

     

 

 

 

 

   

   

カサゴ

   

 

     

 

   

 

 

 

         

カジキ

   

 

   

 

 

 

 

 

     

     

カツオ

 

     

 

   

 

       

   

カマス

     

 

     

 

     

 

 

   

       

カレイ

     

 

     

 

   

 

 

 

         

カワハギ

   

 

       

 

   

 

 

 

         

カンパチ

     

 

 

   

 

   

 

 

     

     

キンメダイ

   

 

     

 

   

 

 

 

 

     

サ ケ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サ バ

     

 

   

   

 

   

       

サヨリ

     

 

       

 

 

 

 

 

   

       

サンマ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シイラ

   

 

   

 

 

   

 

 

         

 

シマアジ

   

 

   

 

     

 

 

             

スズキ

 

 

     

 

     

 

 

       

   

タチウオ

     

 

 

 

 

 

 

 

             

ヒラメ

   

 

 

   

 

     

 

 

             

ブ リ

   

 

   

   

 

       

   

ホッケ

   

 

     

 

     

 

 

   

       

マグロ

 

 

   

 

 

       

   

マダイ

   

     

 

   

 

 

       

   

マナガツオ

     

 

 

   

 

   

 

 

     

     

メバル

   

 

 

   

 

   

 

 

             

コ イ

   

 

       

 

     

 

 

           

ニジマス

     

 

 

 

 

     

 

 

             

ワカサギ

     

 

     

 

 

 

 

             

 

 
 
 
 
4.鮮魚部門の商品分類、売場コーナー
 
 
?キーポイント?‍?

 
水産物の商品は、全体では数100種に及びます。
そして、多くの商品は調理加工され、1つの魚種から刺身や切身など2つ以上の違った商品(アイテム)となるため、実際の売場のカテゴリーは、商品分類上と異なっています。
各社で指定されている商品分類、売場のコーナーをしっかりと確認してください。


(1)鮮魚部門の分類
商品分類は各社ごとの考え方によって細部や名称が異なっていますし、取り扱い商品にも違いがあります。
以下の分類例は、標準的なものですが、どの商品はどの分類なのかの参考にしてください。


【水産部門の商品分類(例)】 ※ 各社で異なります。

デブト

ライン

クラス

アイテム

鮮魚 お造り

単品お造り

まぐろ各種、ブリ、カンパチ、かつお、サーモン、はまち、さゆり、ふぐ、いか

刺身盛り合わせ

2品盛、3品盛、5品盛、大盛、

寿司種

手巻き寿司用、にぎり寿司用、

刺身用サク・生食用

まぐろ

ばちまぐろ、きはだまぐろ、本まぐろ、インドまぐろ、刺身用かじきまぐろ、びんちょうまぐろ、メジまぐろ、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチまぐろ

かつお

かつお、かつおたたき、土佐作り、

はまち

ぶり、はまち、つばす、わらさ、、かんぱち

いか

赤いか、するめいか、紋甲いか、やりいか、あおりいか、小いか、むらさきいか、ホタルイカ

赤貝、とり貝、あおやぎ、ミル貝、ホタテ貝、あわび

えび

甘えび、ボイルえび、車えび、ぼたんえび、赤えび

たこ

生たこ、酢だこ、ボイルたこ、赤酢だこ、マダコ、いいだこ、みずたこ、

たい

真鯛、いずみ鯛、金目鯛、石鯛、黒鯛、しま鯛

サーモン

刺身用サーモン、スモークサーモン、サーモンたたき

その他生食用

うに、なまこ、ほや、しめさば、たまごやき、かにムキ身、かに棒肉等しゃこ、穴子

えび

有頭えび

車えび、大正えび、伊勢えび、ぼたんえび、北海しまエビ

無頭えび

ブラックタイガー、バナメイエビ、テナガエビ

ムキえび

甘エビ、ボタンエビ、

その他えび

芝えび、桜えび、手長えび、剣えび、すじえび、しゃこ

かに

ズワイガニ

高足カニ、松葉ガニ、越前ガニ、こうばこがに、

タラバガニ

タラバガニ、アブラタラバガニ

その他かに

毛がに、ワタリガニ、さわがに、花咲がに、たかあしがに、ソフトシェルクラブ

丸魚

さんま

生さんま、塩さんま

さば

真さば、ごまさば、

あじ

マアジ、ムロアジ、ヒラアジ、シマアジ

いわし

マイワシ、うるめいわし、きびなご

たい

真鯛、黒鯛、連子鯛、小鯛、イトヨリ

かれい

真かれい、マコガレイ、ひらめ、ウマヅラハギ

いか

赤いか、するめいか、紋甲いか、やりいか、あおりいか、むらさきいか、ホタルイカ

淡水魚

あゆ、わかさぎ、にじます、こい、はぜ、いわな、白魚、ヤマメ

その他丸魚

いさき、いとより、カマス、にしん二ギス、イシモチ、さわら、このしろ、黒むつ、マナガツオ、ペラ、のど黒、クエ、飛び魚、さより、ダツ、カマス、カサゴ、ホウボウ、コチ等

切り身 ぶり ぶり、はまち、つばす、わらさ、ヒラマサ、かんぱち

さけ

ベニザケ、白ざけ、銀さけ、キングサーモン、時さけ、

かじきまぐろ

メカジキ、真かじき

かれい

真かれい、マコガレイ、ひらめ、カワハギ

さわら

さわら、オーストラリアサワラ

たら

真たら、スケソウダラ

たい

マダイ、アマダイ、

銀だら・メロ

銀だら、メロ、アブラボウズ、ホッケ、シマホッケ、アイナメ

その他切り身

ナイルパーチ、スギ、太刀魚、シイラ

うなぎ

国産うなぎ

蒲焼、白焼

輸入うなぎ

蒲焼、白焼

その他うなぎ

鰻肝、鰻つくね、鰻肝吸い、あなご、はも、どじょう、うなぎたれ、鰻ボーン

ほたて貝

スチームホタテ、ベビーホタテ、ホタテ貝柱

あさり

あさり、はまぐり

しじみ

しじみ、ヤマトしじみ、瀬田しじみ

さざえ

サザエ

あわび

クロアワビ、メガイアワビ トコブシ、

かき

マガキ、イワガキ

その他貝

つぶ貝、ムール貝、とこぶし、青柳、ほっき貝、マテ貝、ナミガイ(白みる)

水産加工品

シーフードミックス

むき海老、冷凍エビ、あさり・イカ・イタヤ貝等ミックス

いか加工品

ロールいか、カットいか、冷凍するめいか

フライ・天ぷら

エビフライ、白身魚フライ、かきフライ、アジフライ、いかフリッター

焼魚・煮魚・揚魚

焼魚、煮魚、佃煮、さけ燻製、角煮、カニみそ、海老せんべい

鍋物

鍋物セット、つみれ、すり身、かまぼこ、鍋物用野菜セット等

その他水産加工品

開き・みりん干し等干物、魚肉ハンバーグ、調理用タレ、イカ塩辛、まぐろ塩辛、

まぐろ缶詰、ソーセージ

寿司

にぎり寿司単品

まぐろ、ぶり、シメさば、あじ、ハマチ、かんぱち、ホタテ貝、、サーモン、鉄火巻、かっぱ巻、サラダ巻、ひらめ、このしろ、しゃこ、かに、ねぎとろ、とり貝、いくら、うに軍艦巻、かつお、いか、たこ、等々

にぎり寿司

盛り合わせ

にぎり寿司盛り合わせ

その他寿司

チラシ寿司、丼、太巻き、いなり、細巻、

ギフト

ギフト

ズワイガニ、タラバガニ、新巻きサケ、各種切身こうじ漬、瓶詰・缶詰等

催事

催事

産地直送イベント、まつり

包材

トレー類

各種トレー

ラップ類

各種ラップ

その他包材

その他包装資材

塩干 魚卵

たらこ

たらこギフト、高級魚卵詰合せ、

辛子明太子

辛子明太子各種

筋子

筋子詰め合わせ、厳選甘口筋子、

いくら

いくら醤油漬け、おつまみいくらセット

数の子

カナダ産・ロシア産・塩数の子、大サイズ・折れ等各種

その他魚卵

子持ちししゃも、佃煮ししゃもきくらげ、

塩鮭鱒

銀鮭

銀鮭切身、甘塩銀鮭切身・ハラスセット、銀鮭フィーレ(甘口)

サーモントラウト

キングサーモン、アトランティックサーモン、サーモントラウト

紅鮭

紅鮭・筋子海産物詰合せ、紅鮭麹漬け、

白鮭

新巻鮭(白鮭)、時鮭、

その他塩鮭鱒

鮭フレーク、鮭とば、鮭フレーク缶詰、鮭フレーク瓶詰

珍味

塩辛

イカ塩辛、まぐろ塩辛、カツオ塩辛、黑酢いりいか塩辛、ホタルイカ塩辛

その他珍味

いかこがね、うにくらげ、中華くらげ、ほたるいか、沖漬

小魚

しらす

太白ちりめん、釜揚げしらす、しらす干し

ちりめん

上乾ちりめん

小女子

いかなご、かえり、かなぎ

その他小魚

混合ちりめん、味付けちりめん、たたみいわし、桜海老、いりこ、煮干

丸干し

ししゃも

ししゃも、カラフトシシャモ

その他丸干し

いわし丸干し、めざし、あじ丸干し、さんま丸干し

干物

あじ開き干し

アジ開き

塩さば

さば文化干し、塩さば

ほっけ開き

ホッケ開き、しまほっけ開き

その他開き干し

かます開き、さんま開き、しず開き、アマダイ開き、

その他干物

上乾干物、みりん干し、えいひれ、かわはぎ、身欠にしん、ふぐ丸干し、いかの一夜干し

漬魚

みそ漬

まぐろ味噌漬、さば味噌漬、紅さけ味噌漬

粕漬

さけこうじ漬、まぐろこうじ漬、いかこうじ漬

西京漬

さわら西京みそ漬、サバ西京みそ漬、銀だら西京みそ漬、

その他漬魚

みりん漬、スタミナ漬、しょうが漬、にしん山椒漬け、ねぎ塩

海藻

わかめ

塩わかめ、乾燥わかめ

もずく

生もずく、もずくタレ付、もずくスープ、黑酢もずく、塩もずく

めかぶ

めかぶタレ付、ぶっかけめかぶ

刺身用海藻・海藻サラダ

刺身用わかめ、とさかのり

その他海藻

こんぶ、ひじき、生のり、味付のり、

(練製品)

(蒲鉾)

紅白かまぼこ、小板かまぼこ、焼きかまぼこ

(竹輪)

焼きちくわ、おでんちくわ、豆ちくわ、チーズちくわ

(揚げ物)

さつま揚げ、ゴボウ天、いか天、野菜天、お好み天

(珍味蒲鉾)

笹かま、高知のすまき、土佐焼きちくわ、うまき

(おでん・鍋種)

つみれ、各種揚げ半、おでん蒲鉾

(はんぺん)

しんじょ、つみれ、なると巻

(魚肉ソーセージ)

魚肉ソーセージ、えんぴつソーセージ

(その他練製品)

かに風味蒲鉾、

 
 
 
 

(2)標準的な売場のコーナーと品名売場での商品分類は、販売する側ではなく、お客様の立場から見て、わかりやすく、買いやすいものでなくてはならず、各社それぞれで決定しています。

 
 
 
 
 
 
 

【一般的な鮮魚コーナーの例】 ※ 各社で異なります。

No

コーナー名

カテゴリー

1 刺身コーナー

a.単品盛 b.二点盛 c.三点盛 d.四点盛 e.五点盛   f.六点盛g.パーティ盛 h.旬鮮盛 i.平盛  j.寿司種 k.おつまみ等 

2

 生食コーナー

a.マグロ b.カツオ c.白身 d.タコ・イカ e.エビ・カニ f.貝類  g.シメサバ  h.酢の物 i.海鮮サラダ j.カルパッチョ等

3

 丸魚コーナー

a.大衆魚 b.近海魚 c.淡水魚 d.エビ・カニ等

4

 切身コーナー

a.ブリ  b.サケ  c.タイ  d.カレイ e.水産加工品等

5

 季節コーナー

春夏:天ぷら・フライ商材 (a.エビ b.ホタテ c.イカ e.アジ f.キス g.アナゴ等)

秋冬:鍋物商材(a.エビ b.ホタテ c.イカ e.カニ f.タラ g.タイ等)

6

貝・海藻コーナー

a.アサリ b.シジミ c.ホタテ d.ハマグリ  e.その他貝類 f.モズク g.メカブ h.ワカメ i.その他海藻

7

 焼魚コーナー

a.鰻長焼 b.鰻串焼 c.穴子焼 d.その他焼魚 e.タレ等

8

 鮭鱒コーナー

a.甘塩 b.中塩 c.辛塩 d.大辛 e.フレーク等 f.塩サバ g.塩ホッケ等 

9

魚卵コーナー

a.辛子明太子 b.塩タラコ c.イクラ d.数の子 e.筋子等

10

 丸干・ちりめんコーナー

a.いわし b.サンマ c.アジ d.その他丸干 e.シラス干し f.加工ちりめん g.小女子 h.創作ちりめん等

11 開き干コーナー

a.アジ  b.サンマ c.ホッケ d.赤魚 e.金目等

12

 漬魚コーナー

a.粕漬  b.味噌漬 c.西京漬 d.ミリン漬等

13

生珍味コーナー

a.塩辛  b.岩のり c.生珍味等

14

 乾珍味コーナー

a.イカ  b.アジ等

15

味付加工品コーナー

a.昆布巻 b.漬棒鱈 c.佃煮等

16

冷凍魚コーナー

a.エビ  b.カニ  c.フライ d.冷凍生食商材 e.冷凍丸魚  f.冷凍切身  g.冷凍イカ  h.冷凍貝等

 

 
 
 
 
 
5.水産物の鮮度の見分け方
 
 
?キーポイント?‍?

 
水鮮度低下の速い水産部門の商品ついて販売する側に求められるのは、鮮度管理の徹底とそれぞれの魚種ごとに正しく鮮度を判定できる能力です。
鮮度低下を見極め、特に、食中毒の危険性のある商品を販売することは許されません。
 
 
(1) 鮮度チェックのキーポイント

部位

チェックポイント

目の色が澄んで、輝きと張りがあること。

目が混濁、あるいは赤く血が混じった魚は鮮度が悪い。 

エラ

えらぶたを起こして形が崩れていない。

エラの色が鮮やかな赤色で腐敗臭もしないこと

赤い魚は赤く、青い魚は青く、表面がつやがある魚白っぽいと鮮度が悪い。

腹部に弾力性があり、肛門から内臓が出ていない魚。 持った時、全体に張りがある。

皮 目

各種の魚特有のそれぞれの色彩を持ち、皮目につやがあり、鮮度が悪いと白くなる。

押すと身が固く縮まっていて弾力性があり、傷がないこと

ウロコ

うろこがきれいに揃っている。皮目に固く密着していること

切り口

切り口に透明感があり、変色、黄ばみがないこと

全 体

魚全体に張りがあり、磯の香りがすること

 
    こんな商品が売場で見たら、必ず撤去する。
 
1.ドリップが出ている商品
2.切り口が変色している商品
3.身が全体にへこんでいたり、魚肉が柔らかい商品
4.光沢がない商品
ANKER

 
第3章 鮮魚部門の商品管理
 
 
1.衛生管理
 
?キーポイント?‍?

 
私たちの仕事の第一は、お客様の『 食の安全 』を日々守っていくことです。
スーパーマーケットは、お客様 (地域の生活者)の食生活を支える担い手であり、常に安全・安心な食品をご提供することよって、地域のなくてはならないライフラインとしての役割を果たしています。
食中毒が発生した場合、大きな社会的責任が問われます。
 
 

(1)最優先される衛生管理

水産物は、最も品質劣化、腐敗の速い商品群です。
また、生で食べる刺身の商品もあり、鮮魚部門は食中毒発生の危険性が一番高い部門とも言えます。
もし、あなたの認識不足や気の緩みで食中毒を発生させた場合どうなるでしょうか? 自部門だけではなく、店舗全体が営業停止などの処分を受け、さらに会社全体にも大きな影響を及ぼすことになります。
最悪の場合、会社がなくなるという事態に発展する可能性があります。
いくら商品加工技術を磨き、見栄えの良い商品が作れるようになっても、安全・安心な商品を提供するという「衛生管理」ができていなければ、何にもなりません。
そして、的確な衛生管理、鮮度管理を実施すれば、お客様に喜ばれる安全・安心でおいしく健康的な商品を提供できるまさにお店の顔であり、そのために、決められた衛生管理の徹底が求められます。
まず、衛生管理の重要性をしっかりと認識し、基本を身につけることが必要です。
衛生管理とは、食中毒事故等を未然に防ぎ、また、企業の社会的・金銭的損失を未然に防止することです。
 

 
 
(2)食中毒とその種類

 
食中毒は病因物質によって、細菌性食中毒、化学物質による食中毒、自然毒など以下のように分かれます。
 
? 食中毒(原因)の分類 ?

細菌性

 感染型

  一定の数以上に増えた細菌が、人の消化管内で定着・増殖
   することが原因で健康上の障害を引き起こすもの

 毒素型

   食品内で細菌がつくり出した一定量以上の毒素が原因で
   健康上の障害を引き起こすもの

 感染毒素型

  感染した後に毒素を作りだすもの 

自然毒

 動物性

  魚毒(ふぐなど)、貝毒など 

 植物性

  毒キノコ、ジャガイモの芽など 

化学物質

 重金属(スズ、カドミウム、ヒ素化合物、鉛 など)、農薬、洗剤、ヒスタミン など  化学物質によるもの

 

原 虫

  クリプトスポリジウム、サイクロスポラ、赤痢アメーバ、トキソプラズマ など

 原虫 に よるもの 

寄生虫

  アニサキス、旋尾線虫、横川吸虫 など寄生虫によるもの

 

 
 
? 食中毒(原因)の分類 ?

細菌性

 感染型

 一定の数以上に増えた細菌が、人の消化管内で定着・増殖することが原因で健康上の障害を引き起こすもの

 毒素型

   食品内で細菌がつくり出した一定量以上の毒素が原因で健康上の障害を引き起こすもの

 感染毒素型

  感染した後に毒素を作りだすもの 

自然毒

 動物性

  魚毒(ふぐなど)、貝毒など 

植物性

  毒キノコ、ジャガイモの芽など 

化学物質

 重金属(スズ、カドミウム、ヒ素化合物、鉛 など)、農薬、洗剤、ヒスタミン など  化学物質によるもの

原 虫

  クリプトスポリジウム、サイクロスポラ、赤痢アメーバ、トキソプラズマ など 原虫 に よるもの 

寄生虫

  アニサキス、旋尾線虫、横川吸虫 など寄生虫によるもの

 

 

? 主な食中毒(原因)の発生数の推移 ?           
➊ カンピロバクター ➋ ノロウィルス

 

 

? 主な食中毒の月別発生数と患者数 ?

 
● 厚生労働省 令和4年食中毒統計資料より
 
➊ カンピロバクター ➋ ノロウィルス ➌ サルモネラ属菌 ➍ ウェルシ菌  ➎ ブドウ球菌 ➏ 病原大腸菌 ➐患者数  

 

 
3)鮮魚部門で特に注意すべき食中毒の原因菌
 
■ 特に近年は、冬場にノロウィルスが多く発生 
 

 ➊ ノロウィルス

 

◆ 主な原因食品
二枚貝(生ガキ・加熱不十分な貝)

◆ 主な発生時期
9月頃から発生し、冬場1~3月がピーク

◆ 主な症状
吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・軽い発熱

◆発症までの時間
24時間~48時間

◆予防方法
・十分な手洗いと 手洗い後の消毒
・十分な加熱調理
 

 

 

 

 ➋ 腸炎ビブリオ

 

◆ 主な原因食品
海産性の生鮮魚介類およびその加工品など

二次汚染された食品。( 主に塩分あるもの )

◆ 主な発生時期
主に夏場(6月から10月頃)

◆ 主な症状
・下痢・腹痛(特におなかの上の方)・吐き気・嘔吐など

・発熱はほとんどなく、抗生物質投与などで 2 ~ 3日ぐらいで回復し、1週間でほぼ全快する。

◆発症までの時間
8 ~ 24時間

◆予防方法
 ・魚介類は水揚げから食べるまで、一貫して低温管理する。

( 5℃以下ではほとんど増殖しない )  ・魚介類はよく真水で洗い、できるだけ加熱調理して食べる。  ・二次汚染の防止。 (特に魚介類と他の食品の直接・間接的接触を徹底して避ける)

 

 

 

 ➐ アニサキス

 

◆ 主な原因食品
魚介類の刺身・寿司

◆ 主な発生時期
年間を通して発生

◆ 主な症状
激しい腹痛・下痢・嘔吐

◆発症までの時間
1時間~10時間~数日後

◆予防方法
・調理の際に、目で見て除去
・ー20℃以下で24時間以上冷凍

・加熱調理

 
 
(4)食中毒予防の3原則
 
➊ 細菌を付けない
施設・設備は清潔に保ち、原材料は衛生的に取り扱い、調理・加工は清潔な器具等を使用して下さい。
食品を取り扱う一人一人の心掛け、衛生管理の徹底が、食中毒予防の最大のキーポイント
です。
マニュアル通りの十分な手洗いは当然ですが、爪の長い人、髪の毛の不潔な人、白衣の汚れている人など会社の身だしなみ基準をクリアしていなければ、雑菌をばらまいて作業していることになります。
また、手指にケガをしている人は適切な処置をせずに作業している場合も同様です。
調理用具の管理も大切になり、まな板や包丁の除菌、ダスターの使い分けなど、日頃からの心掛けが細菌を防ぐことにつながります。

➋ 細菌を増やさない
原材料の計画的な仕入れに心掛け、先入れ・先出しを励行して下さい。
細菌は時間がたつと、増殖しますので、迅速な調理・加工を心掛けましょう。
細菌の活動を抑えるために、温度管理が大切です。
売場のケースだけではなく・作業場・蔵庫・冷凍庫の温度チェックに努めて下さい。

➌ 
細菌を殺す
使用器具ほか決められた除菌の実施お願いします。
 
 
 
 
?食中毒予防の3原則 ?
つけない
増やさない      やっつける
 
 
 
(5)食中毒予防の作業の基本3原則
 
➊ 清 潔 食中毒予防は、原材料・器具・個人衛生・商品づくりなど、全てが清潔に行なわれることによって実現します。
この内のどれか一つが不潔であっては、食中毒が発生する可能性は高くなります。
清潔は、食中毒予防の最も基本となります。

➋ 迅 速 食品は時間の経過とともに劣化します。
菌は時間とともに倍々と増えていきます。
そして、食中毒を起こす菌量にまで増えるのは5~6時間あれば十分と言う程、そのスピードは速いのです。
そのための増殖の時間を与えないために「 迅速 」が必要です。

➌ 冷却または加熱 細菌の増殖は温度により大きく影響を受けます。
一般に細菌の発育にもっとも適した温度は37℃前後ですが、それ以外の 温度でも10~60℃では多くの細菌が増殖可能です。
従って、調理後すぐに食べる食品以外は、10℃以下または65℃以上で管理することが求められます。
 

(6)
サニテーションとクレンリネス
 
「サニテーション」とは衛生的な清潔さ、殺菌、滅菌を行うことで、「クレンリネス」とは視覚的な照り映えるように磨かれたきれいな状態を保つことと定義されています。
現在は「安全・安心」が第一優先であり、衛生管理を怠ると会社存続の危機になる事件になる可能性もあります。
サニテーションの重要性は各自が肝に銘じるべきです。
また、お客様がお店を選ぶ条件として、お店がきれいであるとは必須条件になっています。
クレンリネスの重要性もしっかりと認識してください。
以下の表に水産売場・バックヤードでの一般的なサニテーション、クレンリネスのチェック項目を示しています。
毎日定期的(開店時、ピーク時、ピーク後、閉店時、品だし時など)に売場で実施し、確認をしなければならない項目です。
それぞれ各社にも同じようなチェック項目があるはずですので、自社のリストを確認し、実践することの目的を理解し、必ずルールに則って実践してください。

【サニテーション、クレンリネスのチェックリスト】
 

場所

 No

チェック項目

 

ケース

 ケースの温度は適正か

 棚板は汚れていないか

 背板は汚れていないか

 コロビ止めは汚れていないか

 マットは汚れていないか

  仕切板は汚れていないか

 平台もしくは大量陳列販売用台はホコリっぽくないか

 ケース前に水がこぼれていないか

 ケース前が臭く汚れていないか

商品

 消費期限切れの商品はないか

 ドリップ商品はないか

 変色商品はないか

 パック破れ商品はないか

 要冷商品を非冷陳列していないか

 目は陥没してマブタは赤くなっていないか(丸魚)

 尻部から汚物が出ていないか

 魚の悪臭がしないか

 商品に髪の毛や汚物が入っていないか

販促

 POPスタンドが汚れていないか

 POPケースが汚れていないか

 POPそのものが汚れていないか

 品名カードが汚れていないか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

|

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作業場

(環境)

 室温が18℃以下になっているか(理想)

 床や壁が汚れていないか

 床に水がたまっていないか

 蛍光灯が汚れていないか

 台車やミニキャリアが汚れていないか

6

 入口の戸が汚れていないか

 悪臭はしていないか

 床や壁がウロコ等で汚れていないか

 蛍光灯や殺菌灯が汚れていないか

10

 蛍光灯や殺菌灯が切れていないか

11

 天井が汚れていないか

12

 収納棚が汚れていないか

13

 トレーはホコリが被っていないか

14

 床に直接魚貝類を置いていないか

15

 カート・コンテナー・パイレスは汚れたまま使用していないか

作業場

(調理場)

 シンクが汚れていないか

 シンクの下が汚れていないか

 包丁ケースが汚れていないか

 包丁が生食用と加熱用に区別されているか

 まな板がアルコール消毒されているか

6

 まな板が生食用と加熱用に区別されているか

 タオルが洗濯され漂白されているか

 タオルが生食用と加熱用に区別されているか

 冷塩水は汚れていないか

10

 刺身・切り身・盛付・パック担当者はマスクをしているか

盛付場付近

 盛付台が汚れていないか

 盛付台の下が汚れていないか

 盛付台の引き出しが汚れていないか

 八ンドラッパーが汚れていないか

 タオルで拭き取りをしているか

6

 汚れたタオルを使ってしていないか

 要冷商品が放置されていないか

値付場付近

 プリンターが汚れていないか

 オートパッカーが汚れていないか

 機器の下が汚れていないか

 

 

 

 

 


冷蔵庫

冷凍庫






 

 室内の温度が正常になっているか

 生食商材とそれ以外の商材が区別されて保管されているか

 庫内が棚割通り整理されているか

 原材料・製品等が床に置かれていないか

 商品の入庫日が記入されているか

6

 先入れ、先出しをしているか

7

 仕越商品とそれ以外が区別されているか

8

 庫内に水がたまったり、ゴミが落ちていないか

 
           

 

● みんなで徹底!! 
 会社で決められている
 衛生管理
 
 
 

 
 
 
 
 
7)調理用具の洗浄・除菌と使い分け
 
➊ まな板・包丁の洗浄・除菌 店舗で使用するまな板には、包丁のキズが無数に付いています。
雑菌はその中に潜み、食品に付着して食中毒などの事故の原因になります。
必ず会社で指定された洗浄 ⇒ 除菌を実施して下さい。
包丁は柄と刃の接合部分に雑菌がたまりやすくなります。
使用後は、刃の部分は当然ですが、接合部分も重点的に洗剤で洗浄する必要があります。

➋ 生食用と非生食用の調理用具などの使い分け まな板や包丁、ダスターなどは「生食用」とそれ以外の「非生食用」に分けることが原則となります。
そして、生食用の食材は、厳重な衛生管理をします。

(8)正しい手洗いの励行 必ず、会社ルールに則って、しっかりと手洗いをします。

● 食品衛生は、手洗いに始まり、
 手洗いに終わります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2.鮮度管理

 
 
?キーポイント?‍?

 
水産物は、入荷した時点で既に鮮度低下が始まっています。
どれだけ鮮度を保ち、品質、味のよい商品を提供できかは、店舗の鮮度管理の技術により決まり、鮮度管理によって、商品は生きもし、死にもするのです。
特に生の商品と冷凍を解凍した商品については、管理が若干異なり、また、魚種によっても取り扱いが違う場合が多くありますので、注意が必要です。
 
(1)鮮度管理の基本
  水産物の鮮度管理は、基本は、衛生管理を徹底することですが、魚種により、また、入荷の状態により、その都度判断し、適切な対応をする必要があります。
 そのためには、魚種ごとに鮮度の基準を理解する必要があります。

 【代表的な魚種の鮮度の見分け方】
   

魚 種

チェックポイント

サンマ

鮮度の良いものは、目が黒く澄んで、全体に光沢があり、背中の

部分は青く、腹部に弾力があり、肛門から内臓が出ていません。

持った時、全体に張りがあり、ウロコが残りつやがあるものは新鮮です。

口先や尾の付け根のところが黄色く、太目のものは脂が乗っています。

タ イ

鮮度の良いものは、エラブタをめくった時、鮮紅色です。

時間が経過すると黒味を帯び、その後は白くなってきます。

もう一つは肛門、鮮度の良い鯛は肛門部分に張りがあります。

張りのある魚は、まだ内臓の腐敗が進んでいない証拠です。

ア ジ

鮮度の良いものは、体が青光りして、腹部が高く盛り上がっています。

全体がピーンと張っていてある種の硬さがあります。色つやが良く、

ウロコも輝いています。目が黒く澄んでいるものが新鮮です。

サ バ

まずは目をチェック。新鮮なら鮮やかで美しく輝いています。

鮮度の良いものは、背中が青く模様がはっきりしており、腹の銀色の

所が光って鮮やかに見えます。

身は硬く張りがあり、大きなものほど脂が乗っています。

肛門から汁が出ていたら鮮度劣化しています。 

イワシ

鮮度の良いものは、体が青光りして、腹部が高く盛り上がっています。

全体がピーンと張っ目が黒く澄んでいて、体がひかり、半透明のウロコが残っています。

体の斑点も鮮やかで、腹が張りがある。

後は鮮度チェック3項目(目、エラ、腹の張り)のチェック。

鮮度が悪くなると目やカマの部分が赤くなったり茶色っぽくなってきます。 

イカ

イカは、種類に関わらず、鮮度の落ちやすい魚介類です。

赤い目がブルーがかって澄み切っていれば鮮度が良いです。

スルメイカであれば、体表の白黒がはっきりしていれば鮮度が良いです。鮮度が悪くなると、全体に透明度がなくなり、茶色になり白色に変わります。又皮をむくと、鮮度の良いイカは透明感があります。 

ハマグリ

ハマグリの鮮度は、音に表れます。1個づつ、両手で持って殻をぶつけ合ったとき、カチン、カチンとかん高い、澄んだ音が響けば鮮度が良いです。鮮度の悪いハマグリはボコッ、ボコッとこもった音がします。

死貝が混ざると他の貝に臭いが付くので取り除きます。

切り身

刺身の切身もそうですが、切ってから時間が経つと切り口の角がなくなります。切り口がシャープなら鮮度は良いです。

切り口が変色していたり、色目がぼけている切身は鮮度が良くありません。

トレイの底にドリップがたまっているものは、鮮度が落ちているのでチェックが必要です。

 
 
 
(2)消費期限と賞味期限 

消費期限 … 約5日以内で品質劣化する生鮮品、日配など長期保存できない食品の期限表示

賞味期限 … 約5日を超えても急速に品質劣化しない長期保存できる食品(缶詰めなど)の期限表示

販売期限 … 各社で上記期限より厳格に、より鮮度の高い商品を販売するためにきめた期限
 
 
【 主要商品の販売期限及び消費期限一覧表(例) 】
   

分類名

商品名

消費期限

販売期限

備考  
刺身・造り

刺身盛合せ

D+0

D+0

ツマを入れて販売する商は、

すべてD+0

 

寿司種

D+0

D+0

 

単品造り

D+0

D+0

 
刺身材料

マグロ冊

D+l

D+0

スライス品は、すべてD+0

ドリップが出たら撤去

 

カツオ冊

D+1

D+0

 

ハマチ冊

D+0

D+0

 

タコ・エビ

その他

ボイルエビ

D+2

D+1

シーフードサラダ(野菜入り)

は刺身造りと同じD+0

 

甘エビ

D+1

D+0

 

チルド帆立

D+2

D+1

 

ボイルタコ

D+2

D+1

 

味付たこ

D+3

D+2

 

いか糸造り

D+2

D+1

 
生魚(丸物)

生いか

D+1

D+0

白くなったものは撤去

ドリップが出たら撤去

 

アジ

D+1

D+0

 

その他青物

D+1

D+0

 
貝・海藻

アサリ

D+1

D+0

インストアパックの場合  

シジミ

D+2

D+0

 

海藻サラダ

D+1

D+0

 

切コンブ

D+2

D+1

 
切身(生)

ブリ

D+1

D+0

変色したら撤去  

生サーモン

D+2

D+1

 

甘塩タラ

D+2

D+1

 
切身(解凍)

銀ダラ

D+3 

D+1

チルドケースで販売した

場合、ドリップが出たら撤去

 

カレイ

D+3 

D+1

 

その他凍魚

D+3 

D+1

 
切身(鮭鱒)

甘塩鮭

D+4 

D+2   

変色したら撤去  

中・辛塩鮭

D+4 

D+3 

 

塩鱒

D+4  

D+1 

 
魚卵

イクラ

D+4  

D+1

いくら、筋子の醤油漬も

基本的には同じ

インストアパックの場合

 

筋子

D+4 

D+1

 

タラコ

D+4 

D+2

 

明太子

D+4 

D+3

 
焼魚

ウナギ

D+3 

D+1

インストアパックの場合  

その他焼魚

D+2 

D+0

 
ちりめん

シラス干

D+3 

D+2

釜あげしらすはD+1  

チリメン

D+4  

D+3

 
開き干し

開きアジ

D+4  

D+2

ドリップが出たら撤去

身欠にしん(本乾)はD+5

 

開きホッケ

D+4 

D+2

 

身欠二シン(ソフト)

D+4  

D+2

 

その他聞物

D+4 

D+2

 
漬け魚

赤魚粕漬

D+4 

D+2

ドリップが出たら撤去  

サバミリン

D+5 

D+3

 

その他漬物

D+4

D+2

 
調理品

セット商品

D+2 

D+1

   

解凍えび

D+3

D+1

   

イカ加工品

D+3 

D+1

   

フライ品類

D+2 

D+1

   
 
 
 
 
3.温度管理
 
2℃-20分の原則
品温を2℃以上に上昇させないこと。
そのためにも肉を常温に20分以上放置しない。

作業と品温の推移
 品温が4℃を超えるとバクテリアの活動が活発化 ➠ 鮮度低下
➠ 保管 ➠ 加工・盛り付け ➠ 予冷 ➠ 値付け ➠ 陳列
 
 

作業場内の温度
細菌の繁殖を制御するのには、0℃がベストの保存温度帯ですが、作業場を0℃にすることは現実的ではありません。
細菌は20℃を超えると急速に繁殖します。
そこで18℃を作業場の適正温度としているスーパーマーケット企業が多いようです。

 

 ➌ バックヤードの冷蔵庫・冷凍庫の温度管理

機器

設定温度

対象商品

冷蔵庫

-2~0℃

冷蔵品

冷凍庫

―10~-18℃

冷凍品

 

 

 ➍ 冷蔵オープンケースのエアカーテン

噴出し口から吸込み口までの冷気の流れをエアカーテンと呼びます。
店の空調の風や野外からの空気の流れがこのエアカーテンを乱すと、
ケース内はあまり冷えなくなり

冷却効率が悪くなります。
陳列は冷気の吹き出し口や、
エアーカーテンをふさがないよう気をつけます。

 

➎ 平台冷蔵オープンケースの注意点
冷蔵の効率が落ちるため、ケース内に引いてあるロードラインより上に商品を陳列しないようにして下さい。
 
 
【 設定温度の目安 】
 

機器

設定温度

陳列商品

冷蔵ショーケース

-2~0℃

生魚、塩干物、解凍物など

*商品の中心温度を4℃以下に保つ

5~10℃

生寿司

0~10℃

生きた貝

(シジミ、アサリなど)

冷凍ショーケース

(チルダー)

-10~-15℃

冷凍魚切身、冷凍エビ、カニ、衣つきフライなど

冷凍ショーケース

-18℃以下

魚介類の冷凍品 及び冷凍食品など

 

注意事項

a.1日3~5回、時間と担当者を決め、

「温度チェックリスト表」を使用し、管理すること。

 

b.ショーケースには昼間の除霜時間が2回ほどあるため、異常を見間違えしないこと。

同時に除霜開始時刻を事前にチェックしておくこと。

c.夏場と冬場では気温が違うので、設定温度の調整を行うこと。

 
? 鮮度管理の基本は温度管理の徹底 ?
  
 会社ルールに則って、確実な温度管理
 
 
 
 4.冷塩水処理
冷塩水処理は濃度3.5%(海水と同じ濃度)、水温-2℃以下の冷塩水で魚を冷やすことをいい、魚の中心温度を引き下げて、魚の鮮度劣化を防ぐことを 目的としています。
 
 
 
【効果】
1.浸透圧により、皮膚の水分を吸収するためドリップが出にくくなる。
2.皮膚のぬめりを取り、表面に照りを与える。
3.細菌の繁殖速度を抑えます。
4.酵素作用による自己消化を抑制します。
 
【 品目別冷(氷)塩水処理目安時間 】
  

品目

量目

形態

処理時間

はまち

2㎏

ドレス

30分

ぶり

4~6kg

ドレス

30~60分

まだい

1~2㎏

ドレス

15分

さば

500g

ドレス

10~20分

あじ

200g

原体

10分

いわし

150g

原体

5~10分

 
【処理のポイント】
1.魚体のぬめりや汚れはキレイに洗い落としてから行う。
2.汚れが目立つようになったら新しく作り変える。
3.処理後は皮膚の表面やエラの部分に相当の水分が残っているため、冷やした乾燥タオルで丁寧にふき取る。
※ 特にエラから出るドリップは赤くて汚いため、綺麗にふき取る。
 
 
5.冷凍魚
 
 ポイント

1.再凍結は厳禁  
   うまみ成分が「ドリップ」となって流出
2.保管中の温度変化を少なく氷結晶の発生を防ぐ。
3.フィルム(パッケージ)などで包む乾燥を防ぐ。
 
 解凍の種類
自然解凍 … 冷蔵庫や作業場に放置する解凍
➡ できれば急速解凍にする。
 
急速解凍 … 温水や流水を使った解凍
※ ビニール袋の中に入れ、口を固くしばって流水解凍する。
※ 冷凍品に直接水をかけるのは厳禁。

※ 完全に解凍すると中心温度が高く上がってしまい、鮮度が低下するので、中心部がまだ凍ってい

るぐらいで、カットするのが良い。

 
最大氷結晶生成帯

-1℃~-5℃の温度帯を「最大氷結晶生成帯」といい、魚介類がこの温度を通過するときに、その細胞液(エキス分)の結晶が最大になる。
解凍する時、この温度帯をできるだけ早く通過しないと中の結晶が細胞膜を破って外に出てきてしまい、エキス分がドリップとなって流れ出て、味がパサパサになってしまう。
そのため、 自然解凍より急速解凍の方か良い。
 
 
 
6.陳列量の原則

 
➊ 山積み陳列をしない。
商品を3段以上積むような山積み陳列をすると、商品自体の重さで最下段の商品がつぶれて商品価値が失われる可能性があります。
更に売場全体の見やすさや選びやすさ、取りやすさが疎外されますので、注意することが必要です。
大量陳列は山積みでなく、フェイスを広げて展開することが原則です。
 
➋ 多品目少量、多頻度補充陳列
商品の鮮度管理を考えると、多品目少量の多頻度補充を行うことが必要です。
また、開店時の陳列は最低陳列量とし、ピークタイム直前に陳列ボリュームを最大にするといった方法が必要となってきます。
閉店時には、売場在庫が大量に残らないようにするために、閉店時まで品切れさせずにきちんと品揃えするべき商品は何か、当日売り切りのための見切り処分は、どの商品を、何時に、どのように実施するのか、といった点について事前に計画しておくことが大切です。
ANKER

 
第4章 魚部門の作業管理
 
 
1.鮮魚部門の作業の種類と1日の作業
 
?キーポイント?‍?

 
鮮魚部門の商品は、加工作業をともない、また時間の経過、温度の上昇により鮮度低下が進みますので、売場での販売量にあわせて、品切れが発生し、チャンスロスとならないように計画的、また迅速に加工作業を実施する必要があります。

 

(1)鮮魚部門の標準的な作業の種類
鮮魚部門の主な作業の種類とそれらの役割分担の例を示したもので、売場の規模、企業の考え方、レベルによって異なってきますが、通常、下記表のような役割分担表に基づいて、誰が何の作業をやるのかが明確に決まっています。

 
【水産部門の商品分類(例)】 ※ 各〇社で異なります。
場所

No

作業の種類

チーフ

担当

パートタイマー

アルバイト

売場

①  

清掃(ケース)

 

②  

陳列、整理

 

③  

POP確認

 

照明チェック

 

鮮度チェックパトロール

見切り

 

棚割変更

 

閉店時収納

 

作業場

加工(刺身)

〃(切身)

 

〃(その他)

 

歩留り・値入計算

 

パック

 

計量・値付

 

冷塩水処理

 

解凍

 

再生加工

 

入荷日付記入

 

作業指示書作成

 

荷受・搬入

バックヤード・商品管理

整理・整頓

 

事務所

発注

帳票記入

 

棚割展開

 

POP作成

 

朝礼・昼礼

作業割当表の作成

 

引継ぎ

 

販売計画

 

日別予算作成

 

市場調査

 

出退勤管理表作成

 

タイムカード集計

 

 

報告書作成

 

 

その他

棚卸

 

会議(日・週・月)

 

衛生検査

 

計量検査

 

クレンンリネス

 

  
 
 
2)店舗での1日の標準的な作業の目安
鮮魚部門の1日の作業は大きく、開店前、営業中、閉店後の3つの時間帯に分かれます。
全体の流れをつかんだ上で、担当作業の目的とキーポイント
を理解することが大切です。

時間帯 No

作業内容

ポイント

開店前

①  

温度チェック

毎日決められた時間(8時、10時、14時、18時など)に実施

冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷蔵庫、冷凍庫 など

②  

入荷商品荷受け

a.搬入(じん速に行う) b.品質確認

c.検品(伝票と商品の合致、人数の確認) d.整理

③  

前日の売れ残り

商品の点検

鮮度チェックをし、次の2つに分けて、処理をする。

a.二次加工するもの b.廃棄

清掃

a.オープンケース・対面ケースなど各種ショーケースの掃除

b.値付け機のチェック(日付け、風袋、売価)

店時陳列

a.それぞれの商品をチーフの指示にもとづくフェイスにする。

b.このとき、前日のものは手前に(先入れ先出し)

商品作り

 開店時、最低陳列量での売場100%陳列を目指す。

売場チェック

a.プライスカード・POPの確認。

  ・商品とPOPの価格変更・汚れが目立つものを取りかえる。

b.売り込み商品のフェイス数と陳列量

開店

閉店

 

 

販売

 

商品作り

売れ行きにあわせて(チーフの指示をうけて)随時、作業をすすめる。

商品の整理

a.陳列手直し…ロードライン以上は陳列しない

b.先入れ先出しの励行

チェックタイム

a.温度チェックb.鮮度チェック:ドリップ、変色、日付け

c.陳列量

陳列補充

売れ行きにあわせてたえず行う。

翌日分の準備

a.翌日事前作業

商品発注

日・時間を厳守する。

a.在庫量の調査 b.販売数量の把握 c.特売商品に注意

整理整とん

手のすいているときにこまめに行う。

a.冷凍庫 b.冷蔵庫 c.作業場 d.手洗い器

閉店後

作業機械

及び器具の清掃

 

①  

商品を冷凍庫・冷蔵庫に収める

②  

整理・整とん

③  

清掃

温度チェック

   電源、ガス・水道栓のチェック

  
 
 
1.仕置きと仕越し 
前述してきた作業の中で、商品の仕込みはその商品がいつ売場に並ぶのかによって、「仕置き」あるいは「仕越し」と呼ばれます。
 
仕置き」とは、当日の午前中にあるいは午後一番に、当日供給予定の商品数をまとめて生産して保管することを言います。
例えば、午前15パック、午後4パック分の生産計画であれば、午前中にまとめて19パック生産します。
まとめて作業をした方が、早く効率良く生産できるためです。
 
仕越し」とは、明朝開店時の品揃えについて、明日の出勤メンバーでは投下労働時間が足りなくて生産できそうもない時に、今日の夕方に、明日の開店時に足りない分だけ生産し、保管しておくことを言います。
したがって、明日の分だけではなく、明後日の分や1週間先の分まで生産し保管しておくことは、本来の仕越しではありません。
仕越しにばかり頼るようになると、本来、水産部門は当日仕入れの当日完売が大原則にもかかわらず、毎日つくり置きの鮮度の悪い商品が売場に並ぶことになります。
 
仕置きはともかく、仕越しは一覧表を作成して、品名と毎日の生産数を確定するべきです。
また、仕越しは明日販売する完成した商品を作るのではなく、完成した商品をより効率的に作るための一次処理、二次処理というとらえ方をしてください。
やむ得ない場合もあるかもしれませんが、刺身にしても 切身にしても「切り立て」の鮮度の良いものを提供していくことが、お客様の支持につながります。

 
3.商品の販売量と作業の関係
 
(1)1日の商品販売の流れ
商品作り ➠ 陳列 ➠ 販売 ➠ 商品作りの繰り返しになっています。
そのため、商品作りから陳列して販売が終了するまでには、30分から1時間くらいの時間が経過します。
時間帯ごとの売場の販売量に対応するためには、全体を4つの時間帯に分けて、商品作りの量・陳列量・売上高の関係を考えることが効果的です。
第1に入店から開店まで、第2に開店からピークまで、第3にピーク時、第4にピーク以降閉店までで区分けして作業を組み立てます。
 
【 売上高・商品作りの量・陳列量の関係 】
* 10時開店 22時閉店の店舗の例

 
➊ 売上高・生産量・陳列 ➋ 入店 ➌ 開店 ➍ ピーク  ➎ 退店 ➏ 閉店 時刻
 

 

(2)売上高
朝8時もしくは8時前に入店して生産を開始しますが、
陳列を始めるのは生産を開始してから約1時間後になります。
開店時には、決められた開店時品揃え品目が100%そろっ
ていなければなりません。
売上高の発生は開店した後からで、午前中のピークに向って曲線が上がっていき、12時を過ぎるころから、お客様が昼食に入るため、一時的に売上高が落ちていきます。
13時半ころから再び売上高が回復しだし、15時半ころから始まるピークに向かって急上昇していった後、18時前から徐々に売上高が減っていき、18時を過ぎると、急激に落ちていきます。
ただし閉店時間が遅いお店ほど、売上高の曲線が18時以降、全体的に右に移動していきます。

 

(3)生産量
一方、生産量は、前日の仕越し分も含め、開店に向かっ
て増えていき、開店時間を過ぎると一時的に落ちていきます。従業員の昼食が終わった後、再び夕方のピークに向って生産量は増えていきます。そしてピークが終了する30分くらい前には、当日分の生産をやめ、明日の仕越しに入ります。
従業員が退店する30分前には、生産作業が完全に終了していて、最後の清掃に入ります。
もしアルバイトが閉店作業の中で清掃をやってくれれば、それだけ社員は早く帰ることができます。

 

(4)陳列量
陳列は、仕越し分があるからといって、作業の開始と同時
に始める必要はありません。決められた時間の通り、流れに沿ってやるべきです。
あるSMでは、9時30分までは大量に生産した商品を冷蔵庫・冷凍庫に保管しておき、9時30分から全員で一斉に陳列を実施しています。
陳列回数はなるべく少ない方が、作業効率が良くなることは言うまでもありません。陳列量は、生産量と売上高とのバランスで決定されますが、基本的な流れは、生産量の曲線に似ており、必ず売る前に陳列されなければなりません。
また、閉店約1時間前には、陳列作業をやめて、売場の手直しや、整理・見切りなどの閉店作業に入る必要があります。

 

(5)生産量と売上高の関係
生産は入店とともに開始されるため、生産量は常に売上高
に先んじて推移します。
ただし、本来は売上高=生産量でなければいけないため、時間はズレても同じグラフ曲線を描かなければなりません。従って、生産と販売の時間のズレは、鮮度の劣化を考慮して、30分から1時間程度に収まらなければなりません。

 

(6)陳列量と売上高の関係
陳列量も、売上高に先んじて推移します。
基本的に売上高=陳列量が良いのですが、実際には陳列量の方が10%くらい多くなければ、売上高は落ちる傾向にあります。
従って、陳列量=生産量の図式は正しいのですが、売上高=陳列量=生産量とはならないのです。
また、厳密に言えば、仕越しなどの作業が存在すれば、
生産量=陳列量とはならないことがあります。

 

(7)生産量と陳列量の関係
生産があって初めて陳列が発生するので、陳列は生産の後
を追う形になります。生産量と同じグラフ曲線で陳列曲線があり、しかも陳列曲線が30分くらい遅れるのが理想形ですが、作業効率を考えると陳列回数を減らす必要があるため、陳列曲線は実際にはなだらかな曲線にはなりません。また、前述のように、当日販売に関係ない商品生産をすればするほど、グラフは変わってきます。

 

(8)時間帯別の売場づくり
時間帯別の売場づくりは、大体次のように考えるとよいでしょう。

※ 立地、曜日で異なり、又、各社、各店舗の方針で設定されます。

 

✅ 開店時
最少・最低の品揃えと陳列量で、多段ケースの下2段と平ケースの全フェイスで奥行の半分を埋める。
※ 1日の販売量の約35~40%が目安。
                            
✅ ピーク前
アイテム数、SKU数、陳列量が増やしていき、11時30分を目途に売場を商品でほぼうめる。
当日の最高の品揃えで、最多アイテム・SKUになり、陳列量も最高となる。
                            
✅ ピーク時
当日完売予定品は売り切りを目指す。
※ チラシ商品と売れ筋主力商品の一部(売上高構成比40%以上)以外は品薄状態。
                            
✅ 閉店2時間前
チラシ商品の品薄状態は可。
主力商品も一部以外は欠品があっても可とする。
                            
 
 
(9)時間帯別売場づくりのキーポイント
時間帯別売場をつくるためには、次の通り、2つの場面で重要なキーポイント
があります。
 
① 開店時
開店時品揃えを100%にするため、もしくは決められた通りの品揃えをしょうとすれば、開店時品揃えリストが必要です。
このリストは棚割表に記入すると、より分かりやすくなります。
棚割表には、品名・規格・使用トレー・フェイス数×奥行・パック数=陳列パック数を必ず記載します。
そうすれば、全員が棚割表を見ただけで、すべてが分かるため、次の作業の内容をその都度聞かなくても判断ができ、作業が止まることなくスムーズに流れます。
 
② 閉店2時間前
本日の見切り品や廃棄品を少なくし、明日も高鮮度商品を販売しようとすれば、閉店時品揃えリストが必要となります。
このリストは閉店2時間前から閉店までの品揃えを規定するもので、チラシ商品の品薄、閉店間際の欠品、及び主力商品の一部もしくは決められた品揃え以外の欠品はよい、という前提でつくられています。
従って、このリストに載る商品の品切れは許されませんが、逆に、これ以外は品切れしても問題ないということになります。
閉店2時間前になると、大型パックや刺身の盛り合わせなど、1パック売価が高い商品があまり売れなくなるため、大パックを小分けして、中パックや小パックに切り替える作業が必要になります。
また、大きな丸魚は切身などにしたり、小魚は調理したりして、とにかく明日に残さないようにする努力が大切です。
 
 
(9)基本作業のキーポイント
1)パック作業
盛り付けた商品をフィルムで包装する作業をパック作業と呼んでいます。
パック作業は基本的にオートラッパーで行います。
各機種操作方法が異なるため、上司に操作方法を教えてもらいましょう。
また、この作業と同時に不良品のチェックも行いましょう。
 
2)パック作業の手順
① 決められたトレーを用意する。
② 効果的に作業ができるよう。
商品、ツマ物、トレー、などの配置を決める。
③ トレーの大きさに合ったフィルムをオートパッカーにセットし、パックする。
 
(2)パック作業のポイント
① パックにあったトレーを使う。
② バッケージする前に、よく品温を下げること
(トレーは低温保管が原則)
③ ドリップの出ないよう、よく水分をふきとる。
④ 刺身は特に注意がいる(形がくずれないよう)。
⑤ 1本のものは方向を統一する。
(左頭右尾) ⑥ 2本以上入れる時は、その組み方(頭と尾の方向)を決めておく。
⑦ 切り身は、全体のバランスを考えてトレーに並べる。
⑧ 商品の種類や大きさで分類するだけではなく商品の質的な面も考慮する。
⑨ 量目についての過不足をなくすため、計量器を水平に保つ。
⑩ 表と裏と品質格差をなくす。
⑪ 表示ラベルは一定の場所につける。
⑫ パックした商品は、直ちに補充陳列する。
⑬ 陳列できない分は冷蔵庫に収納しておく。
⑭ 常に売場の商品の状況をつかんで作業量を決める。
 
 
3)パック作業のメリットとデメリット
1.メリット
① 店と家庭をつなぐ、保冷庫の役割
② 空気中の雑菌、臭いの付着を防ぐ。
③ 乾燥を防ぐ。
2.デメリット
① 鮮度の判別がしにくい。
② 魚の片面しか見えない。
③ ゴミがでる。
 
2)表示、値付け作業
表示、値付けとは商品の生年月日、氏名、住所を確定するいわば「戸籍」のようなものです。
これを誤ったり、偽装したりすると社会な信用を失い、牛肉偽装問題のときのようにその会社の存続問題にもつながります。
表示・プライスシールの内容については上司にしっかりと確認し、正直に、正確に、すばやく操作できるようにしましょう。
 
(1)表示、値付け作業の手順
① 値付けシールを商品の分類に合わせ、プリンターにセットする。
② 加工日は当日の日付とし、店名、品名をプリンターにセットする。
③ ユニットプライス商品は、100g当りの売価をセットする。
④ 値付けシールを所定の位置に貼り、品出ししやすいようプラスチックコンテナに入れる。
※ 値付けシールの位置は原則としては右下もしくは右上。
⑤ プリンターの文字は常に鮮明であるように注意し、薄くなったらすぐにインクを取り替える。
●値付けの位置
(2)値付けの種類
① ユニット販売(100g当りいくらか?という売価)
※ 風袋(トレーやラップ、たれなどの商品の正味重量以外のもの)は正確に引いて下さい。
※ 引かなければ、法律(計量法)違反となります。
※ また、お客様からのクレームの原因にもつながります。
② 定額販売(1パック当りいくらかという売価)
 
3)補充陳列作業
常に豊富感と訴求力のある売場を維持するためには、定期的に売場の商品の陳列量をチェック、補充していく作業が必要になります。
(1)チェック事項
① 品切れしている商品、ショーケースの底が見えている商品はないか。
② 昼、夕のピーク時に必要なだけの商品が揃っているか。(ピーク前のチェック)
③ 売場に商品が少なく、貧弱な印象を与えていないか。
 
(2)補充時のチェック事項
① 商品は台車などにのせて運搬。
② 値付けがすんでいるか、品質など確認する。
③ バックルームでの商品、ショーケース内での商品について先入れ先出しを徹底する。
 
(3)補充陳列が充分でない場合デメリット
① 高品質の商品であっても、鮮度の落ちたイメージを与える。
② 整っていない売場では、お客様も商品を手荒く扱いがち。
※ 鮮度低下が早まる。
③ 店全体の印象が悪くなり、従業員の質や他の部門の商品まで悪く見える。
④ 品切れ等で、販売チャンスを逃す。
 
 
ANKER

 
第5章 魚部門の売場づくり
 
 
1.レイアウト計画
 
?キーポイント?‍?

 
鮮品作りや陳列作業を任されるようになると常に「なぜこのような売場にして、この商品を販売しているのか」という問題意識を持ちながら仕事をすることで、知識と技術の向上を図ることができます。
理解を深めるために、レイアウトやコーナー割の考え方などの基本知識が必要です。
 

● 売場は次の手順で作られます。
レイアウト ➠ コーナー割 ➠ 棚割 ➠ 棚割に基づいた商品作り ➠ 販促(装飾)資材の設置 ➠ 陳列

 
(1)直線型
売場レイアウトの基本は直線型です。
最初のコーナーは客動線に向かって部門で最も顔となるコーナーであり、しかも売上高が最も大きいコーナーを持ってくる必要があります。
それが水産部門の場合には刺身・生食コーナーになります。
最初のコーナーが決まれば、あとは刺身やサクにする前の丸魚コーナーや切身コーナー続きますが、基本的な流れは下記のようになります。

➊ 刺身 ➋ 生魚 ➌ 丸魚 ➍ 切身 ➎ 鍋物 ➏ 貝・海藻 ➐ ウナギ ➑ 塩鮭・塩蔵 ➒ 魚卵 ➓ 生珍味 ⓫ 開き干 ⓬ 漬魚 ⓭ 味付加工品 ⓮ 丸干・ちりめん ⓯ 焼魚 ⓰ 冷凍魚 ⓱ 乾珍味
 
 
(2)逆L字型
逆L字型のレイアウトでは、水産を構成する鮮魚商材と塩干商材のコーナー全体の長さによって、下記のような4つのパターンが考えられます。
AパターンとCパターンは客動線が青果部門から続くパターンで、BパターンとDパターンは食肉部門から続くパターンとなります。
Aパターンは、突き当りが最も売れる場所であることから、刺身・生食コーナーが正面にきます。
あとは基本となる直線型のコーナーを順番にレイアウトすることになります。
ただし、冷凍魚コーナーは原則として売場の最後に位置させた方が、最初に持ってくるよりも違和感がありません。
特にBパターンとCパターンの場合に最初に冷凍コーナーを持ってくると、次のコーナーが刺身・生食コーナーであるため、非常におかしくかんじられます。
BパターンとCパターンは正面に塩鮭・塩蔵コーナーがレイアウトされますが、これは正面に刺身・生食コーナーを持ってくると、鮮魚商材コーナーがすべてレイアウトできないからです。
  
➊ 冷凍魚 ➋ 焼魚 ➌ 貝・海藻 ➍ 鍋物 ➎ 切身 ➏ 丸魚 ➐ 生食 ➑ 刺身 ➒ 塩鮭・塩蔵 ➓ 魚卵 ⓫ 生珍味 ⓬ 開き干 ⓭ 漬魚 ⓮ 味付加工品 ⓯ 丸干・ちりめん ⓰ 乾珍味 ⓱ 冷凍魚 ⓐ Aパターン   Aパターン Ⓒ Cパターン Ⓓ Dパターン
 
 
(3)平ケース導入型
平ケース導入型の場合には、平ケースそのものの使用目的がチラシやインブロを訴求する前提となっていることから、それにあった商品群を陳列する必要があります。
丸魚や切身はその日の相場や商品群によって毎日同じ売場になることはほとんどありません。
また、あってはいけないのです。
したがってそれらの商品群が平ケースに陳列されるのは当然です。
平ケース導入型のパターンはこの2つであり、逆L字型のCパターンとDパターンは実際には不必要なパターンと考えられます。
➊ 丸魚 ➋ 切身 ➌ 鍋物 ➍ 貝・海藻 ➎ 焼魚 ➏ 生食 ➐ 刺身 ➑ 冷凍魚 ⓐ Aパターン   Ⓑ Aパターン
  
 
2.シーズン別ゾーニング例
シーズン別ゾーニングは、棚割表を書く前の重要な作業のひとつです。
ゾーニングは、シーズンごとだけではなく、対大型店、対競合店等でのゾーニングがあり、その店の特徴を明確にする枠組みなのです。
棚割の前にゾーニングが決まらないと、結局はその店の商店が定まらず、大型店の縮小版となることが多いため、慎重にかつ明確に主張し、作成すべきです。
 
(1)春のゾーンニング(3月~5月)の例
春は鍋物商材が売場からなくなり、焼魚、揚魚、煮魚用の切身類が売れるようになります。
また、卒業式や入学式、花見などがあり、刺身売場も拡大されます。
行楽シーズンも始まることから、鮭や魚卵などの塩蔵品の他、旬の魚の「いかなご」や「ちりめん類」もよく売れます。
➊ 刺身 ➋ 生さ間 ➌  ➍  ➎  ➏  ➐  ➑  ➒  ➓  ⓫  ⓬  ⓭  ⓮  ⓯  ⓰  ⓱  ⓲  ⓳
➊ 刺身 ➋ 生魚 ➌ 丸魚 ➍ 切身 ➎ 貝・海藻 ➏ ウナギ ➐ 塩鮭・塩蔵 ➑ 魚卵 ➒ 生珍味 ➓ 佃煮 ⓫ 丸干・ちりめん漬魚 ⓬  開き干 ⓭ 漬魚 ⓮  冷凍魚 
 

(2)夏のゾーンニング(6月~8月)の例
夏は切身や塩干品が売れなくなり、代わりに刺身・生食や丸魚、ウナギ、塩蔵商品等が売れるようになります。

(3)秋のゾーンニング(9月~11月)の例
秋は再び切身や塩干物が売れるようになり、ウナギや刺身、生食商材の売れ行きが鈍ってきます。
また、相変わらず塩蔵商品は売れ、揚物商材も売れるようになります。
 
 
(4)冬のゾーンニング(12月~2月)の例
冬のゾーンニングは一にも二にも鍋物コーナーの拡大です。
同時に、生カキやハマグリ等の貝コーナーの拡大や塩干物の拡大が必要です。
刺身・丸魚やウナギは売れ行きが鈍るため・若干縮小傾向にします。
  

3.各コーナーの特徴と展開のキーポイント(参 考)
 
(1)刺身コーナー
刺身コーナーは、水産部門の顔とも言うべき重要なコーナーです。
このコーナーの売上高は高く、上手に展開すれば荒利益も高くなります。
ほとんどのお客様は、刺身コーナーの売場づくりと商品を見ただけで、水産部門全体の鮮度感の良しあし、グレードの高低、技術力の高低等を判断します。
従って、刺身コーナーには鮮度が悪い商品はもちろんのこと、ドリップやパック破れ商品等を陳列しておかないようにしなければいけません。
また、売場は縦割りにくくられ、中の商品も常に整理されている必要があります。
刺身コーナーの課題としては、第1に常につくりたてを訴求すること、第2に旬魚のお造りの提供、第3に流行に合わせたお造りの提供、第4に高級魚の品揃え、があります。
常につくりたてを提供することは、当然、鮮度が良い材料を使用するのが大前提で、タイムマーチャンダイジングに合わせた販売と生産体制が必要となります。
旬魚のお造りの提供については、春夏であればタイ、アジ、サヨリ等、秋冬であればサンマ、ブリ、イカ等を毎日少量ずつ生産して、お客様には、「とにかくお店へ行けば毎日面白いし、旬のお造りがある」という認識をしてもらうことが大切です。
流行に合わせたお造りの提供については、現在のお造りの盛り方を見れば、以前と全く違うことに気づきます。
例えば、従来の盛り方は、お造りを斜め30度から45度の間に盛り付け、あとは盛付点数の違いだけでした。
しかし現在は、横二段盛りや縦三段盛り、少量多品盛りやドーナツ盛り等のように、新しい盛り方の方が主流になっています。
また、半月型トレーや桶トレー、透明トレー等、新しい型のトレーが毎年出されているため、それを利用することによって更にお造りのバラエティが広がっています。
このように刺身コーナーは、どの商品群にも増して、常に新しいことの先取りを継続していかなければならないのです。
もちろん、おいしそうに見栄えが良いお造りをつくる技術力が大前提となることは言うまでもありません。

(2)生食コーナー
刺身(造り)商品以外で、そのまま食べられる状態の商品を陳列してあるコーナーで、マダコ、柵類、シメサバ、貝類、甘エビ、サラダなどの商材が含まれます。
その中でも刺身盛り合わせや単品商材のもととなる柵などの品揃えがメインとなります。

(3)丸魚コーナー
丸魚コーナーは、刺身コーナーの次に重要なコーナーです。
売上高としては刺身コーナーの約3分の1ですが、鮮度感と季節感を演出するためには絶対に必要なコーナーです。
従って、ドリップ商品や鮮度が悪い商品を陳列しておくことは厳禁です。
丸魚コーナーは、食べ方を教えてあげたり、下調理をしてあげることにより、固定客が増えます。

(4)切身コーナー
最近、丸魚以上によく利用されているのが切身商材です。
有職主婦や単身者、そして高齢者等が増加しつつある現在、家庭に帰ってからの調理やそれに伴うゴミ処理の手間が、非常に嫌がられるようになってきました。
これからは、ただ切身だけを陳列しておくのではなく、お客様の要望に応じて、塩・コショウしたり、衣を付けるようなことまで考えていく必要があります。

(5)季節コーナー
(春夏は天ぷら・フライ、秋冬は鍋物コーナー)
料理用途コーナーの中で、刺身コーナーに次いでよく利用されるコーナーです。
春夏は天ぷら・フライコーナーの展開、秋冬は鍋物コーナーの展開となります。
コーナーに陳列する商品は、前者も後者もそれほどの違いはありません。
エビやホタテ、イカ等は年中品揃えしますし、カニ等もどちらの料理にも使用します。
違うのは一部で、アジやキス、イワシやアナゴ等の開きと、タラやタイの切身等です。
これらのコーナーはその季節を代表する料理のコーナーのため、これがあることにより季節感を演出することができます。

(6)貝・海藻コーナー
このコーナーのテーマは、健康と頻度です。
アサリやシジミ等の貝類に加え、ワカメやモズク等、すべて健康に良い商品です。
それに加え、これらの商品群は、普段の食事でも利用頻度が高い商品群ばかりです。
従って、絶対に欠品しないことが大切です。

(7)焼魚コーナー
 このコーナーは、ウナギの蒲焼を主体に、ウナギのキモやボーン、アナゴ焼等を陳列するコーナーです。
季節によって売上高の変動が激しく、7月には水産全体に対する売上高構成比が20%に届くSMもあります。

(8)鮭鱒コーナー
このコーナーは、塩干商品群の中では最も販売効率の良い売場で、その売上高構成比は高い店では約8%もあります。
キーポイントとしては、第1に、サケの身がかたいうちに切ること(切身の色変わりが遅くなるのと、切り口が立つため見栄えが良い)、第2に、消費期限内でも変色商品は必ず売場から撤去すること(サケの命はオレンジや紅の色です)があります。

(9)魚卵コーナー
このコーナーは、売場全体の色が紅のため、主として鮭鱒コーナーと一対で展開されることが多いのですが、レイアウトのスペースの関係で、刺身コーナーの横に陳列されることもあります(生食関連の意味)。

(10)丸干・ちりめんコーナー
このコーナーの商品は、カルシウムを豊富に含んだ商品として、健康と天然をアピールすると効果的です。
丸干類の品揃えとしてはイワシが圧倒的に多く、マイワシ・ウルメ・背黒丸干に代表されます。

(11)開き干コーナー
塩干品は地域の食文化との関係が深い商品のため、各社の考え方で、売場が子となっていたりします。
塩干商品は、鮮魚に塩をしたり、干したりして保存性を高めた商品のため、在庫も長く持てると思いがちですが、適正な在庫日数は、5~6日とされています。
塩干商品は次の朝ごはんのおかずとなる場合も多いため、夕方の買い上げ率の高い商品で、特に夕方欠品しないように注意する必要があります。

(12)漬魚コーナー
このコーナーの商品は、もともと地域性が強かったのでが、最近は、地方の有名な漬魚が徐々に広がってきたために、全国的にそれほど変わらなくなってきました。
売れ筋は、西京漬、味醂漬、味噌漬となっています。

(13)生珍味コーナー
このコーナーは、酒の肴や普段のおかずとして利用される商品のコーナーで、特に行楽シーズン、お盆、年末等によく利用され、売上高が上がります。
そのため品揃えの考え方として、魚種と味にバラエティをもたせる必要があります。
容器の種類や形も多岐に渡っているので、陳列時にはそれらが隣同士でそろうように注意して下さい。
 
(14)冷凍魚コーナー
このコーナーの商品は、無頭エビパックやムキエビパックを中心に、カニやフライ類、シーフードミックスやロールイカ、各種コンシューマーパック等、多岐に渡っています。
冷凍の切身類を入れる場合もあります。

4.棚割作り
売場のレイアウト、コーナー割が決定したら棚割表や棚割図を作成します。
これは各々のコーナーに「何を」「いくつ」「どこに」並べるかということが記載されているものになります。
この中には「誰が見ても間違うことがない」「作業の量がパック数でわかる」ように「商品名」「売価」「使用トレー」「フェイス数」「陳列パック数」などを記載しなければなりません。
棚割の仕方は、各社で異なりますが、一般的に棚割表と棚割図が作成されます。
近年はPC(ソフト)画像付きで作成する場合もあります。

(1)棚割表作成の目的
棚割表作成の目的は以下の通りです。
① 部内全員が売場を正しく把握するため  

② よりよい棚割に進化させるため
③ より適正な製造数を把握するため
④ 商品補充の作業効率を高めるため
⑤ スポット的な販促後の棚割り復元のため
例)棚割表と棚割図
➊ つまセット ➋ イクラ ➌ 赤貝 ➍ ミル貝 ➎ 厚焼卵 ➏ 生ウニ ➐ ハマチ(ブリ) ➑ タイ  ➒ ホタテ ➓ シャコ ⓫ ボイルエビ ⓬ 甘エビ ⓭ 酢ダコ ⓮ 味付けタコ ⓯ メバチマグロ(サク) ⓰ キハダマグロ(サク) ⓱ カツオ(サク) ⓲ タコ(小) ⓳ カツオ(サク)   ⓴ メバチマグロ(並・サク)

(2)棚割表作成の注意点
棚割表は品名、売価、トレー、最低陳列量などの項目を入れコーナー毎に作成します。
作成上の注意点は下記の通りです。
① コーナー毎の品揃え品目を決定する。
② 1アイテム2フェース以上は確保する。
③ 主力商品は1SKU2フェース以上とする。
④ 売価、トレーを記入する。
 
 
5.売場作りのキーポイント
「売場」とは、販売する立場から見たいい方です。
がとりやすい状態で置いてある。
基本原則をしっかり踏まえた上で、自店にあった売り場作りを実践して下さい。

(1)売場のイメージはピラミッド状
フェイスは下段展開商品が広く、

アイテム・SKUは上段展開商品
が多くなるため、売場作りの
イメージはピラミッド状になります。
 
➊ 品揃え商品 ➋ 準主力商品 ➌ 主力商品
 
 
(2)各コーナーは縦陳列
刺身コーナーと丸魚コーナーが隣同士にあった場合その境目の部分が縦に真っすぐに仕切られている状態を示します。
(最下段は多少ずれる) 境目にはコーナー仕切板を使用し、売り場にメリハリをつけます。
こうするよって、お客様に分かりやすい売場となります。

➊ 主力商品は2フェイス以上 ➋ 狩猟商品 ➌ 刺身 ➍ 丸魚

(3)主力商品は下段(最下段or下2段目)に陳列する。
一般的にPOSデータ金額ベスト50で売上高約60%を占めているため、主力商品は手に取りやすい位置に陳列します 。

(4)主力商品は2フェイス以上で売り上げ確保が原則

売場の大きさによっては3フェイス以上

(5)1フェイスの商品は棚板の隣に陳列するのは
厳禁
側板のすぐ隣に1フェイスの商品が陳列されていた場合、お客様がその商品に気付かない可能性が高くなります。
したがって、側板のすぐ隣には2フェイス以上の商品を陳列します。

(6)装飾資材 POPは必ずつける
〔主力商品・コーナー・インプロ品等)


(7)売り込み商品・売れ筋商品は、客動線トップに陳列
➊ 売筋商品 ➋ 客動線
(8)関連販売陳列は必ず行う

(9)陳列は下段から実施
(朝の商品補充、追加の商品補充)
・下2段の売場で、1日売上の約70~80%の売上があります。
・平台も下段と同様に扱う。

10)最下段のみ2段積OK
(売上の高い店も下2段まで)

(11)陳列の隙間をなくす
欠品していたり、陳列が乱れているとお客さまにとって、とても見苦しい売り場になります。
特に商品と商品の間に隙間があくと見苦しいだけではなく、陳列数が本来よりも少なくなり、効率も悪くなります。
したがって、トレーとトレーの間は隙間がないよう詰めて陳列する必要があります。
どうしても隙間ができるときは、ワサビやたれ等の関連陳列をうまく活用して下さい。

12)平台の陳列は、縦に端から端まで陳列
平台の陳列は1アイテム・1SKUで縦から端まで陳列することが、最もきれいに見えて売上高も上がります。
しかし、商品によっては陳列量が少なく端から端まで陳列できないことがあります。
その時には客動線からいって最後の列(F・G・H)に2・3アイテム交ぜても問題はありません。

➊ 客動線
 
アイテムとSKU
スーパーマーケットではアイテムとは一つ一つの商品のことを指し、水産部門でいえば「タイの刺身」「タイの切り身」などを各1アイテムといいます。
SKUとはそれら商品をさらに細かくしたもので、「タイの刺身」でいえば、「1人前、2人前、3人前」などとなり、3SKU、「タイの切り身」でいえば「2切れ入り、3切れ入り」などとなり2SKUとなりません。
単身者が多い地域に2人前、3人前のものしかなければ、その商品がないに等しく、いくらアイテムが豊富でもSKUが豊富でなければ、お客さまにとって支持されません。

4.装飾(販促)資材
売場の雰囲気、コーナーの明確化、商品個々の打ち出しの明確化のために、装飾は必要です。
良く使われる装飾資材の名称を覚えましょう。

  

装飾資材名

特徴

のぼり・

告知ボード

催事の案内・PR(広告)に使い、店頭・催事コーナーに装飾する。

遠目に目を引く、大きな文字・目立つ配置・大きさが大事

ポスター・

パネル

写真・イラストなど利用したもの。コーナーに使われることが多い。コーナーに合う内容の絵・写真・文字が必要。

大きさはコーナーの間口と同様であるのが望ましい。

POP

商品個々を具体的に指し示すもの。商品の利用方法、こだわりなどその商品に目をとめさせる目的に使われる。

販売者のセールストークが簡潔に表現されて、なおかっわかりやすい内容で記載することが必要。

シール

商品ひとつひとつに貼付するもの。ただ単に目をひきつける役割だけでなく、商品を利用する場(台所)でも役立つ情報が必要。(料理方法、保管方法など)

 
➊ スタンドPOP ➋ シール ➌ コピーベルト ➍ のぼり ➎ ボード・パネル ➏ ポスター ➐ プライスカード 
 
 
6.わかりやすい売場づくり
「売場」とは、販売する立場から見た言い方です。
お客様から見れば、買うところであり「買い場」と表現することができます。
お客様にとってわかりやすい売場づくりのキーポイント
は、次の4要素が具現化されているかどうかです。

商品がわかりやすい売場であること
選びやすく、買いやすい売場であること
商品が取りやすい売場であること
きれいな売場になっていること

(1)ゴールデンゾーン
選びやすい、買いやすいという要素はお客様の視線に大きく関係しています。
商品を陳列するときにお客様の視線のある範囲内に商品を陳列することで、見やすく・取りやすく・選びやすくなるのです。
お客様が最も見やすい位置は、目線より20度下がった位置といわれています。
これをゴールデンラインと呼び、このゴールデンラインの中心から上に10度、下に20度の範囲をゴールデンスペースと呼んでいます。
この見やすいゴールデンスペースに商品を陳列することで選びやすく、買いやすくなるのです。
水産部門で使用する陳列ケースには多段ケースと平台ケースがあり、その高さを多段ケース1500mm、平台は床上700~800mmに設計されたものが多く導入されています。
ゴールデンスペースは高さで示すと通常床上65cm~125cmの範囲であるとされているため、平台はこの範囲内にあるといえます。
ゴールデンスペースの中でも、もっとも手に取りやすい位置がゴールデンゾーンと呼ばれ、多段の冷ケースの場合は、最下段となります。
 
➊ ゴールデンライン ➋ ゴールデンスペース ➌ ゴールデンゾーン ➍ 20度 ➎ 10度
 
 
(2)陳列の原則
どのような商品を、どの位置に、どのくらい陳列するかは、その商品の売れ行きだけではなく、補充作業のコストや店舗イメージにも大きな影響を与えます。
陳列の一般的なルールとしては、次のような項目があります。
 
① 以下商品は有利な場所、目立つ場所に陳列する。
a.同じ品種の中でも、特に販売量が多かったり、荒利益率の高い商品
b.この時期、この週、この日に、店舗としてぜひお客様に購入して欲しい商品
c.販売計画において販売促進対象になっている重点商品
② 販売量の多い魚種は買い物の便利さのためにSKUを増やす。
③ 各品種とも、その時期の売上高構成比の高い品目から順次陳列する。
④ いわゆる「品揃え商品」のフェイシング数は最小限にとどめる。
⑤ 季節性の高い商品は、平ケースに陳列する。
⑥ 各コーナーは縦割に陳列する。

(3)陳列量の原則

 
山積み陳列をしない
商品を3段以上積むような山積み陳列をすると、商品自体の重さで最下段の商品がつぶれてしまい、商品価値が失われる可能性があります。
更に売場全体の見やすさや選びやすさ、取りやすさが疎外されますので、注意することが必要です。
大量陳列は山積みでなく、フェイスを広げて展開するようにする必要があります。

多品目少量、多頻度補充陳列
商品の鮮度管理を考えると、多品目少量の多頻度補充を行うことが必要です。
また、開店時の陳列は最低陳列量とし、ピークタイム直前に陳列ボリュームを最大にするといった方法が必要となってきます。
閉店時には、売場在庫が大量に残らないようにするために、閉店時まで品切れさせずにきちんと品揃えするべき商品は何か、当日売り切りのための見切り処分は、どの商品を、何時に、どのように実施するのか、といった点について取り決めておくことが重要です。

7.対面販売
スーパーマーケットでの販売は主に「対面販売方式」と「セルフ販売方式」があります。
「対面販売」とは、カウンターや陳列ケースを挟んでお客様と相対し、商品の選択や購買を助けながら販売する方法のことです。
一方、「セルフ販売方式」はお客様が販売員と接することがなく、お客様が選んだ商品を自分のかごに入れて購入するというかたちです。
2つを比べてみると、セルフ販売よりも対面販売の方が、お客様に十分な情報やサービスを提供できるというメリットがあります。
そのため、高級・高額品、または商品やサービスについて説明を必要とする商品の販売に適しています。
最近では生魚の調理ができない、食べ方がわからない方も増えているため、鮮魚部門としても、料理提案や食べ方の提案を積極的に行っていく必要があります。
対面販売のある売場では次のことを心がけましょう。
① お客様の顔が常に見えるところにいること
② 従業員の顔や雰囲気に活気があって・お客様が話しかけやすい雰囲気があること
③ 従業員からも積極的に話しかけていくこと
④ 第一にお客様の要望をよく聞くこと
⑤ お勧め品を明確に紹介できること
⑥ 調理方法や料理方法を明確に説明できること
⑦ お客様が持っているさまざまな情報を聞くことができること(競合店情報、苦情、地域情報等)
⑧ お客様の顔と名前を従業員一人あたり50人以上覚えること また、対面販売では商品情報を提供するだけではなく、お客様からの情報を収集するという機能もあります。
様々なクレームを受けるかもしれませんが、そのような意見は非常に重要です。
生の声を収集し、改善に役立てていくべきです。